10月1日(火)
下期の操業が始まりました。上期の最終になってしっかり検証を繰り返してくれたようです。朝一番の操業パラメータを観てきましたが、状態は2023年度レベルにかなり近いレベルにまで戻っていた感じです。上手くいっている改善もありますから損益分岐点操業度としては少し2023年度より少しだけ下がったのではないかと期待しています。ただ、まだ出来ることはたくさんあります。先週は機械のトラブルで今期始めた大きな改善の一部が昨年レベルにまで戻っていたと聞きます。先週も綴りましたが、時代は大変な事態へと向かっています。ウクライナ・パレスチナという二つの戦争です。万物は循環の中で生かされます。世界の一部でもこうした大きな循環の停止が起きれば必然的に経済は低迷します。そして日本の産業の構造的な課題です。コロナ禍という異常事態は多くの企業を倒産廃業に追い込みました。こうした事態の中、世界中の政府が景気支援策を実施しました。通常であればこの刺激剤がカンフル剤となって景気は上るのですが、インドを除く世界中でこの経済対策が機能しない事態になっています。それが先ほど綴った倒産廃業した多くの企業の影響なのです。解りやすい事例は自動車産業です。バックオーダーはたくさんあるのですから、自動車産業がけん引すれば景気の底上げにはつながるはずです。しかし、こうした消滅したり、縮んでしまったりした産業がボトルネックとなり以前のような生産能力を有さなくなってしまったのです。その結果が現在は生き残っている企業には受注不足となっているのです。鋳造業界では平均して約4割減の状態となっています。そして更に中小製造業を悪化させる動きが始まっています。引き金は、中国経済の大暴落です。世界第二の経済大国ですから世界経済に与える影響は深刻です。これが受注不足に繋がってもいます。中国には、日本も多くの企業が進出しています。こうした企業の多くが中国からの撤退を始めています。新たなる新天地はベトナムであったり、インドネシアであったり、またインドへの動きも加速しています。単に中国からこうした新天地への移動であれば大きな問題にはならないのですが、新たな工場では大きな投資をするのです。その回収をしなければならないのは当然のことです。従って、生産性を上げ、これまで以上の低コストでものづくりをしなければならないのは当然です。そのために必要なのは受注(物量)なのです。そうなると今現在日本で生産している製品までを新天地で造るという選択をすることになるのです。受注減の第3波が日本製造業にやってきます。
マツバラとて例外ではないのです。一方で、この最悪のシナリオへの準備も始めていました。
- 手間のかかる仕事がしっかり出来ていること(手造りという表現を使用していこうと思います)
- ①故に極小ロットへの対応も出来ること
- 人財の確保と教育が出来ていること
- 働き方改革への対応(多様な人材の活躍・・・ダイバーシティへの対応)
- 大企業並みにコンプライアンス遵守が出来ていること
ここに廃業企業から市場に投げ出された受注を瞬時に立ち上げられる能力を強化していきます。これまでもこうした能力は有してきましたが、「万全」と言われるレベルにまで引き上げていきます。生産性の高い工場に生産性が低い小ロットを持ち込めば著しく生産性を落とすことになり、ロスが増え収益性を大きく低下させます。以前は2000個と言えば月産でした、しかし今やってくる見積もりは年間で2000個といったレベルが大半になっています。その対応に対するスキルが社会に認識されようとしています。
現状の課題と進むべき道について今日は綴りました。その実現のためにこそ、現状を良しとするのでなく、あと少しの改善の積み上げ。ちりも積もれば山となる一人ひとりの行動が大切になるのです。小さな改善を積み上げるには、社員さん一人ひとりがかぎとなります。皆さん一人ひとりの動きこそが宝なのです。
さあ、下期の始まりです。負けてたまるか大作戦、しっかり進めていきましょう。
社長 松原 史尚