「海外出張4」

「海外出張4」

10月28日 (金)

出張最後の日は、グループイメージキャラクター佐藤嘉洋さんと、伝説の王者ブアカーオとのエキシビジョンマッチにセコンドとして参戦する予定でした。

朝から、PCR検査の動向、試合に合わせて少し変わった時間の食事を繰り返すなど、素人ですが選手のスケジュールに合わせた行動をしました。当初知らされていたスケジュールからは大きく変更、試合は超満員でチケットは売り切れ、多くの立ち見客であふれていた。どうやら大口のスポンサーでも付いたようで生放送で報道されることになったようです。エキシビジョンマッチがメインメインイベントということも少し違和感を感じながらも、試合開始時刻が2時間も後ろにされ11時時差のある日本人には夜の1時に試合ということになりました。スポンサーのテレビ放映の関係とのことでした。しかし、佐藤選手には時差ぼけ、途中仮眠を取っての試合に臨むことに。その辺りも当日知らされることに大きな違和感、もしも本当に試合なら大きなハンディキャップです。まあ、そこはエキシビジョンマッチということで理解したのですが、既にこの辺りからこのイベントは変な感じがしていました。

何も知らない役割ですが、私もラウンドごとの役割を頂き、準備万端にして試合に臨んみました。しかし、様子がおかしいのです。本来私たちセコンドが陣取るはずの位置に何故か地元のメディアが陣取り、我々は佐藤川のセコンドの位置には着けない。ブアカーオ陣営にはしっかりとセコンドが付き、その様子が試合会場全面のスクリーンに映し出されてもいる。1分経過、そしてその後は30秒ごとに時間を知らせるはずが我々はリング下、しかも地元メディアや警備員の後ろという位置、完全に周りを地元メディアに囲まれた状態の中でのゴング。大きな違和感を感じながら試合が進む、私のような格闘技素人でも解るように佐藤さんのキックは恐らく絶対に当たらないであろう距離で大きく振り回された、少しオーバーアクション気味のようにも感じ取られた。一瞬は「あ~、これがエキシビジョンか」と思ったが、一瞬で空気が変わったのが、私にもわかった。ブアカーオが完全にそこではまともに当たるという距離感に入り攻撃を始めた。佐藤君とは長年の付き合いである、何か驚いたことが起きた瞬間の顔に豹変したのだ。「あ!」そう思った時には、佐藤君の顔にまともにパンチが入った。その攻撃は、契約書にはNG行為として書かれてある攻撃であったようだ。人は、予期する攻撃には対処できるが、予期せぬ攻撃には無防備である。「スタジアムは沸き返った」。

しかし、佐藤君の様子がおかしい、万が一を想定して救急搬送となった。

何がどうして、このような事態になったのか。理解に苦しむばかりであるが、完全に公開死刑にされたような感じであった。それをメディアがタイ全土に放送する。

幸いに、佐藤君に以上なく、無事に帰国の途に就いたと先ほど連絡があったが、この先、タイの格闘技界ではブアカーオを利用した、もしくは彼自身が何かを始めるのであろう。

目の前で起きていることが、常に正しいことではない、しかしそれでも怒ることなく、「明るくいこまい」の佐藤君の人生理論にそって今後も前に進んでくれると思います。「人間万事塞翁が馬」、先ほど佐藤君からお礼のメールと共に送られてきた言葉です。私には、何が起きたか理解不能ですが、佐藤君なら大丈夫、私は常に彼といると信じられないようなラッキーが巡ってくるのです。今回のタイ出張もまさしく、そんな機会になりました。

佐藤さん、本当にお疲れさまでした。そして素敵な経験をさせていただき、ありがとうございました。

社長 松原 史尚

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