「改善提案」

「改善提案」

 2月20日(火)

 本当に季節外れの温かさですね。今日は何と21℃あります。川のほとりの桜が満開でした。少し咲くのが早い種類の桜なのですが、それでもいつもは3月の初旬が見頃ですが2週間早い満開です。

 さて、今日は改善提案の審査をさせていただきました。今月は159件の提案を受け付けました。今回も年間効果金額が3000万円を超えるビックな提案が出てきていました。まだ完成していませんが、現状でもこのレベルの効果が出ているようで、完成できた時にはどんなレベルになるのか今から楽しみな案件です。

 改善提案ですがノルマが存在します。係長さんまでに提出義務があります。係長さんは月2件、それ以下の役職者の皆さん、一般の皆さんは1件です。全て私が目を通して最終審査をさせていただきます。点数に応じて個人ではなく所属するグループに賞金が渡されます。私が全てに目を通すのは、それほどこの改善提案を重要視しているからです。何を重要視しているのか、また何を求めているのかについて、今日は綴ってみたいと思います。

1.決め事遵守

 ノルマを課しますと「出すことが目的」となり、改善しようとする意識が弱くなり創意工夫が出来なくなるとも言われます。しかし、それでもノルマ化することが大切なのだと考えています。そもそも改善とは善く改めるとかきます。つまり、会社の中もしくは職場に存在する悪を改めて善くすることを進めることなのです。従って、少しでも会社を継続的に善くしていきたいという志は強制的であろうと全員に持ってもらうべきだと思うのです。特に安全や職場の快適性を追求する姿勢は全社員さんに持って欲しいです。このように今より少しでも現状を善くしていくために決めたことを徹底して守ることの大切さを追及しています。故に、厳しくルールを守ること、提出することをお願いしています。

2.継続的(持続力)

 ノルマを決めると月1件、半年で6件、年間12件ですから年間で12件提出すればよいのですが、過去には夏の賞与審査時期となる6月末にノルマが達成できているように5月にまとめて6件提出してこられる方が多くありました。同じく10月にまとめて出てきました。随分と改善されましたが、毎年、6月と11月の審査には200件を超える提案が今でも寄せられています。それはノルマ達成と、少しでもノルマを超えたいという人が多くあるからで、毎年審査させていただく私は大変です。しかし、それではダメなのです。継続すること、コツコツと出来ることが大切なのです。一気に進めた改善は一気に元に戻ってしまうことが多いのです。リバウンドということです。瞬間湯沸かし器で沸かしたお湯が冷めやすい、薪でじっくり沸かしたお湯は冷めにくいように、全てには法則があるのです。少しずつ改善していくこと、そして継続することの大切さを求めています。

3.課題解決力

 出すことは義務であっても目的であってはなりません。目的はあくまで改善、今よりも善くすることです。そして継続的に会社、職場が改善できることを求めています。そのために最初に必要なことは何か。それは「現状分析」だと思います。現状をしっかり眺めること、年初(年度初め)に自職場の問題点(悪)をしっかりと認識し、その課題・問題=悪をどのように改善していくかをイメージし、そして継続的に改善を進めていって欲しいと願っています。もし今そのように進められていないのであれば、今からでも課題解決のテーマをしっかりと持ちましょう。課題への挑戦は、時に成果が出ないかもしれません。しかし挑戦に失敗は無しです。この手法でやったのでは上手くいかないという点(失敗の手法)を明確にし、皆で共有することは立派な改善です。改善のためのテーマを決める。それは全ての人に対してです。ですから係長さんが自職場でノルマが達成できない人に対して「出してください」と促すよりも、自職場で困っていることを共有し、役割(存在意義)をしっかり全員に持ってもらう。そして毎月コツコツとでもその課題解決に向けた行動を進めてもらい、その内容を提案用紙に記入してもらうことが大切なのだと思います。

 前述しました年間数千万円の効果金額を出す改善はまさにこうした姿勢、テーマを持って継続的な改善を進めることから生まれています。しかも、この成果に至る前段階として、3年以上に渡る様々な改善が積み上げられた結果でもあります。ここに至る前段階でも大きな成果を上げており、その更なる進化が今回の改善になっているのです。私の信頼する村瀬役員はまさに改善の天才でした。提案を提出していた頃は鋳造技術だけを担当していました。係長なので、毎月2件のノルマでした。しかし、テーマを持ち継続的な改善を進めていくので2件だけでなく、毎月4件5件と提案が出ていました。そして大きな成果をもたらしました。与えられたテーマは鋳造技術であっても磨いたスキルは「改善=問題解決」のスキルなのです。その改善力に魅了され、次々に新しい仕事が任されていきました。改善で身につけた問題解決力が活かされたのです。決め事を遵守すること、そして継続すること、どうせやるならば会社や仲間、社会に役立つ志を持って改善を進めていく。そんなことが出来る人財を見落としてはいないか。そんな潜在能力をもった原石は存在していないか。そう思いながら毎月の審査を進めています。

 提出してくれない部下がいる、それは部下が悪いのではありません。全ての原因は自身にあるという自責の念を持てば必ず知恵は出てきます。2023年度は大変な成長をマツバラは遂げています。その原動力は改善力であり、問題意識を有した継続的な改善が進められているからこそ成し遂げることが出来ているのです。自信を持って進めてください。今解決したい課題を皆で共有する。そして一人ひとりの役割(存在意義)をしっかり示していく。全ての人には承認欲求があり、自己実現欲求があるのです。そのための課題(役割)がしっかり与えられることが出来ること、それも大切な「人を大切にする」マツバラの理念です。

 今日は改善提案の審査をさせていただきました。本当に素晴らしい提案が多くありました。しかしまだノルマ(義務)が目的になっている人がいます。是非とも全員が何故する(意義)のある改善が出来るようになっていってくれたらと願いながら採点をしていました。来月の審査も楽しみにしています。

社長 松原史尚

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