「小平奈緒さん講演会」

「小平奈緒さん講演会」

6月4日(火)

 昨日のことになりますが、岐阜県経営者協会の総会、記念講演会に参加してきました。記念講演会では「小平奈緒さん」の講演を聴くことが出来ました。正直な話をしますと、アスリートとしての彼女をテレビで見てきたイメージは非常にストイックでどこか冷たい感じのする人物像だったのですが、講演を聴いてみますと全くイメージしていた感じとは異なり、とても人間味のある素敵な方でした。

 講演の冒頭で「笑いながら、涙しながら聴いてくれたら嬉しいです」と話されましたが。まさしく、涙しながら笑いながらあっという間の時間を過ごすことが出来ました。

 テーマは「知るを愉しむ」です。楽しむではなく「愉しむ」としたのは愉しむは分解すると心を運ぶと書いて愉しむという意味で単に嬉しい、喜ばしいことだけでなく、悲しいことでも心が動けば愉しむことが出来るから。という話で講演はスタートしていきました。

 常に感じることですが、世の中にはある種の法則が存在しています。先ずは運命というものが存在し、人生は絶対に生まれながらに結果が決まっているということです。私はそのことを「天運」と信じています。しかし、ある種の法則に従って行動することで運命を大難は小難、小難は無難、末吉は吉、吉は大吉に変えられると考えています。今回の講演を聴かせていただき、まさに小平奈緒さんもこの法則通りに進まれたのだと感じました。故に結果が付いてきたのだと思います。

 彼女の言葉の中からいくつかの法則を見つけたので紹介したいと思います。

1.スケートにはサイエンスがある

     正にサイエンスとは真理であり、絶対に不変のものです。全ての物には真理が存在するのです。色即是空、空即是色。全ての物は心が創り出しているものです。造られたものには設計図が存在します。何となく、そんな理解をしていますが、例えば世に偶然は絶対にない。全てが必然と考えると、目の前に起きる事象が何を自分に語り掛けているのかを考えるようになります。すると不思議と怒りや愚痴は消えて、どう行動するべきかが見えてくるようになります。小平さんは「昨日までの自身を超えていくヒントが散りばめてくれている。」と話されました。それは時に苦しみであり、悲しみであっても「心が運ばれる」「愉しみ」となっていくのです。素敵です。

    2.「与えられるものは有限」「求めるものは無限」

     彼女は自身の競技人生を実業団や体育大学といったアスリートには恵まれた環境ではなく、信州大学という地元の国立大学で送りました。従って、トレーニング環境も使われなくなった教室を仲間とリフォームしながら確保されました。その中で「与えられたものは有限、求めるものは無限」ということに気づきます。まさに「自責と他責」という話です。自らの責任と考えれば知恵が出ます。「知恵は無限」です。しかし、他責で受け取ると「愚痴」しか出ないのです。「愚痴は煩悩 煩悩は迷い 迷いは闇 闇は暗」です。明暗が分かれるのは自責で考えるか他責で考えるかがその分水嶺なのだと考えます。

    3.主役は自分

     「天上天下唯我独尊」、この世の中に自分以上に尊いものはない。お釈迦さまはこのように話されましたが、方向を変えて観ると、これも「自責か他責か」という話なのですが、講演の中で終始小平さんが語られたのはこのことであったと思います。「期待をされることは人にして頂くのでなく、自分自身が自身に期待をする。そして人からは応援を頂く。」人の思いにはエネルギーがあるというのも絶対の法則です。これまた色即是空、空即是色の世界です。そして期待には貪欲が存在します。応援は結果求めるのでなくまさに「心を運ぶ」ということ。従って、仮に結果が喜ばしいことでなく、悲しいことでも心が運ばれていることに感謝できる。少し難しい話に感じるかもですが、絶対の法則に私には感じました。それでも自身には結果を求めていく。「自責」の念で。そこから「努力は擦り減る、だから習慣づける。夢中になったら没頭モード」と語られました。テレビを通してみていた小平さんはこの没頭している姿だったのですね。またオランダに留学時代の気づきも「主役は誰か」、「自分自身である。ライバルもまたライバル自身から見れば主役なのである」。まさに「天上天下唯我独尊」の発想です。

    4.「最後まで最高のパフォーマンスを」

     「主役は誰か」という話の中で、誰かに未来を決められるのでなく(期待と応援にも関係)、「どうしたい、どう生きたい、どう表現したい」という話しをされました。小平さんは北京オリンピックの1月前に足首の靭帯を損傷し結果を出すことは出来ませんでした。ここも絶対の運命です。怪我をすることも運命です。しかし彼女はここから「悟り」に近いものを得られたのだと思います。まさに「徳」というべきものだと思います。擦り切れるように競技人生を終わりたくない。「最高のパフォーマンスが出来る形で競技人生を終える。」 そう決めた彼女はこれまでの人生で学んだ全ての感性を活かしながらリハビリに取り組まれたのだと感じました。「主役は自分」「スケートにはサイエンスがある」「与えられるものは有限 求めるものは無限」、その中で新たな気づきが生まれます。「苦手や弱みは伸びしろである」ということ。そして「夢中になれば没頭モード」で懸命に取り組まれる。結果は全日本選手権8連覇、自身では歴代2位のタイムで北京五輪銀メダルの高木選手などを抑えて優勝される。そしてこのレースを最後に、競技人生を終えられます。またこの日の観客数は6千人(朝日新聞発表)を超えます。メモをするのを忘れ残念ですが、先生は60〇〇人と正確な数字を把握されていました。スピードスケートは五輪の代表選考レースでも2千人レベルなのだそうです。そのラストランにこの人数が来られたことを写真に留めて一人ひとりに感謝しておられました。冒頭に「結果」と綴りましたが、結果とは「どうしたい どう生きたい どう表現したい」の結果であり、金メダルなどの記録とイコールではないのです。その求めた結果こそが未来を築いていくのだと思います。まさに「悟り」なのでしょうね。

     まさに格好良過ぎます。この世の中には絶対の法則が存在します。運命は変えられなくても「徳」を積めば、大難は小難、小難は無難、末吉は吉、吉は大吉に変えられる。小平先生のように漢字を紐解くならば、「徳」とは素直な心で行動すること。これからも素直な心で目の前に起きる「運命」を自責で考え、悪しきことは伸びしろと思い、上手しことは御陰様と感謝していきたいと感じました。「知ったかぶりはするな、バカでいた方が得だでなぁ」、小平先生の講演のラストワード、大好きなおばあちゃんの言葉だそうです。「まさに」です。

     本当に大きな感動をありがとうございました。唯一の心残りは、誰も質問しない中で、主役は自分と手を上げれば良かったなぁ。ということ、質問したかったことは「未来の金メダリストを育てたくはないか」ということ。彼女は今尚選手時代を応援してくれた長野の相澤病院のアンバサダーとして働かれています。職業選択の自由は無限にあると思います。それでも今尚現職に留まられる。そこにも「足るを知る」「報恩」「御陰様」いくつかの人生を生きる絶対の法則に則した先生の生き方があるように感じました。小平先生、素敵な時間をありがとうございました。

    社長 松原 史尚

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