7月11日(木)
少し早く起きてブログを綴っています。先ずは、グリーンボンド(GB)を生産して頂けている協力企業様への出張報告から致します。
一昨日のブログでも綴りましたが、GBは私たちにはなくてはならない添加剤ですが、それほどたくさんの量を買っているわけではありません。従って、GBの生産がこの企業のメインではありません。本業は食品、主にパンの材料としてトウモロコシの澱粉を出荷しています。このトウモロコシは韓国の大手澱粉メーカー3社によって生産されます。品質的には大きな差はなく、価格交渉を行い一番安いところから購入しているそうです。その原料となるトウモロコシの原産地が、私たちがGBの製造をお願いした時には「ロシア・ウクライナ・オーストリア・ブラジル」で主にウクライナ、ロシアであったそうですが、それが戦争によって全く止まってしまった。また韓国も日本同様にウォン安が進み、著しく輸入コストが跳ね上がってしまいました。その上、韓国経済がどんどん落ちていき、実質賃金が目減りしていく中で人々の食生活にもより安価なものへと変化していったそうで、徐々に取引先への納入量が減っていきました。例えば、子どもたちが友だちを連れてくると以前は菓子パンをおやつに出すことが一般的であったとのことです。最初は菓子パンの値段を上げるのでなく、量を少し少なくする(パンを小さくする)ことでパン屋さんたちも工夫を知ったようですが、そのような小細工はお腹を空かしている子どもには逆効果で客離れが進んでしまいました。現在、一般的な子どもたちへのおやつは「餃子」なのだそうです。パンのライバルに餃子とは理解に苦しみますが、聴いたままに報告させていただきます。こうした経済下での社長様の工夫は「品質改善」ということでした。社長様は7年ほど前にマツバラを訪問されています。そして鋳物工場とは思えない工場環境に感動し、新工場の建設を決断したそうです。また、大きな声で元気に挨拶してくれる社員さんたちに感動をしたそうです。マツバラを訪問された後で、快適な環境と元気な挨拶が会社を創るのだと確信して経営を変えていったのだそうです。また「人を大切にする」という考え方にも共感し意識をして社員さんを大切にするという経営を展開しているそうです。この会社は大きな工業団地の中にあります。その中にはバスで社員さんたちの送迎を行う大変大きな大企業もあるそうです。その会社を辞めて、この会社へ勤め始める方が出るほど、社員さんを大切にする会社として団地の中でも著名になったそうです。また残業もやりたい人にはしてもらう(時間制限も日本と同じようにあり(韓国では42時間)ますので、法律を犯さないように2時間/日程度までしかできなません。)そして早く帰りたい人には残業も強制しない。不況下の経済の中で社員さんは大変喜んでいるようです。こうしたマツバラ流の姿勢も真似られたということです。個人的にも後継者が次男さん、長男はアメリカで国際弁護士を目指して勉強中など、後継者は長男であるべきといった韓国流の感覚も捨てられたようです。いずれにしてもGBの生産も含めて会社に後継者が出来ていることは大きな安心をもらえました。いずれにしても、日本に来てマツバラを観て、感動して真似たということです。嬉しいことです。
現在、マツバラを元気にするという係長さんたちの勉強会の中で、より一層来ていただいたお客様に感動してもらうためにどう改善していくべきかを真剣に考えてくれています。火曜日に参加者からの報告が上がっていましたので拝見させていただくと、本当に良い提案がたくさん出ています。是非、自信を持って進めていただければと思うのですが、事実こうしてマツバラを見学されたお客様が皆さんに影響され、その社員さんたちを幸せにしておられるといことにもっと自信を持っても良い気がします。手法も大切です。しかし、大切なことは「思い・・・ようこそいらっしゃいませという心」を継続していくことです。そして一生懸命な姿を元気なあいさつで表現していく。見学コースを作り、そのコースの環境整備をする。素晴らしいアイデアです、是非検討して進めてくれると嬉しいと思います。お客様が快適に安全に見学できる。そして観られている皆さんが快適に作業出来ていることも非常に大切です。皆で意見を出し合って進めてください、「先ずはやってみる」という姿勢も大切だと思います。
前述GBを生産して頂いている会社様ですが、大変な韓国経済の中で1社あたりの納入量は減っているのですが、新しいお客様を増やしたことで売り上げを減らすには至っていません。その原点となったのが「品質」です。品質の改善が噂になり、パン屋さんお菓子屋さん等のお取引先様からの紹介で新しいお客様が見学に来られて新規のお客様が増えていったとのことです。先ずは形から入ることも大切ですが、来ていただくお客様が何を求めて来られるのかという根本を考えるのも大切なのかもしれませんね。元気プロジェクトでもしっかり考えてみてください。
さて、出張報告の本題に戻ります。GBは鋳物づくりに良いと確信をされて、鋳物造りも少し勉強をされ、韓国内の鋳造工場への売り込みを開始されたようです。実際にはGBの販売には至っていないのですが、この会社の工場見学に来られ、しっかりとした品質の製品が提要していただけると確信された鋳造工場から、シーコール(石炭粉)と藁・もみ殻を粉砕したものを混錬する新規の仕事が生まれたそうです。あまり大きな売り上げにはなっていないのですが不況の今、仕事が有ることは有難いと話されていました。これほど材料費等様々な価格が上昇する中で、実際、GBの仕事が利益を生んでいるのかという質問をしましたが、「これだけマツバラのGB購入量が減っているということはマツバラも大変な時代を過ごしていると思います。今会社が元気であるのはマツバラを見学して、新しい工場を建設することを決断し、マツバラさんを真似たおかげであるから、今は努力して価格も揚げない方向で頑張っている。」このように聴かせていただき、本当に嬉しくなりました。こうして見られる景色は、いつか蒔いた種が実っているのです。未来に向けて一生懸命考えてくれている係長の皆さん、自信を持って進めてください。きっと未来に向けて素晴らしい種蒔きが出来るはずです。そしてその種は私たちだけでなく、見学された先の社員さんたちも幸せにします。そんな志が大切だと思います。
今回の出張、「世界の行方を日本の外に出て観ること。」「大切な添加剤であるGBの安定供給の確認。」しかりとその目的を果たすことが出来ました。さあ、日本に向けて帰ります。暑い中、今日もお仕事に励んでいただき本当に感謝いたします。
社長 松原 史尚