11月22日(金)
昨日のブログで綴った「動機善」についてもう一つ大切なことが存在しています。今日は相対について話すつもりでしたが、大切なことを綴り忘れていたことに気付きましたのでこの辺りを私の経験から綴ってみたいと思います。
2004年日本青年会議所として国連の広報局の仕事を担う役割を持っていました。その責任者を任されました。ここで出会ったのがスウェーデンで発祥したナチュラル・ステップという考え方でした。説明すると一日かかるほどのボリュームですが、一言でいえば「環境に良いことは経済にも良い」ということです。今では誰もが知るIKEAですが、IKEAこそがこのナチュラル・ステップをけん引した企業です。儲けるのでなく、地球と人類の未来に役立つ、この考えでの経営です。天にも、社会にも、人にも味方され、結果的に経営的にも成長していきます。「環境に良いことは経済にも良い」このナチュラル・ステップの考え方に日本のQC手法を加え、JC版ナチュラル・ステップという環境経営の実践プログラムを構築しました。実質的なその年の日本青年会議所のメイン事業と認定される、全国会員大会でその年のメインフォーラムをこの運動が担い、翌年には全国の青年会議所でこの運動が展開されていきました。今では、当たり前となっている環境への取り組みもこの当時は当たり前ではありませんでした。青年会議所は全国のネットワークで、ここでの取り組みは恐らく大きな影響を社会に与えていったと思います。
早速、会社の中でも展開しようとしますが、役員会では猛反対です。「環境等というものは大企業がするもので、我々が取り組むものではない。」これが見解でした。ただ当社には三方ヨシの経営理念があります。地球=社会に良い、この先はお客様も望まれる、少子高齢化の時代に必ずやってくる人手不足社会の中で、若者にも選ばれる企業にもなれる。そして何よりも進めていくのは、リサイクル、リユース、リデュースの手法で大きなコスト低減も出来ることになる、その結果を利益でなく、CO2排出量換算して環境貢献度として謳っていく。結果的にはお金を儲けるという話なのですが、プロセスが違うのです。地球の、社会の、人類のお役に立った結果、マツバラも儲かるという話なのです。先ずはお役に立つ相手第一主義の実践、また同じ行動を起こすのでも、その目的が、利益(利己)でなく、環境(利他)である時、人は無限の力を発揮するということです。このように役員会では説明をさせていただきました。実際に当時の社員さんたちも喜んで頑張ってくれました。「儲ける」のでなく、「役立つ」、この心の持ち方で出てくるエネルギーは無限に異なります。性善説と性悪説、こうしてみると、私は人間の本来持つ性質は「善」だと信じます。
やっていることは設備の延命や生産性の向上、良品率の向上、材料のリサイクル、廃棄物の低減、水道水の使用量削減、この時は紙の低減、いち早いペーパーレスなどにも取り組みました。実質的にはコスト的なメリットの大小は正直ありました。しかし、大切なことは皆でやること、そして動機善(社会のため、地球のため、未来の子どもたちのため)で進めているということをステークホルダー全員で共有することが大切なのです。ISO14001の認証取得は2002年でしたが、その後は要求事項レベルをはるかに超えたパフォーマンスを進めていきました。ISOでは調達先の監査も行われますが、本当に僅かしか買っていただけていない大企業様まで鋳物工場の監査はマツバラが受けることが多かったのは偶然ではないでしょう。結果は必然的に出てきて、大きな収益性の向上をもたらしました。本格導入は2005年度からですが、2006年経済産業省から環境優良工場の表彰、同年、日本環境経営大賞・環境経営優秀賞(中小企業部門最高賞)を受賞します。このように先進的に環境保護活動に取り組み収益性も確保したことで、2007年中小企業庁から元気なモノづくり300社に指定されます。そして2008年、環境には非常に厳しいドイツの客先から年間の品質最優秀賞を受賞することにとなりました。政府系金融機関からはこうした環境に取り組む企業のみが受けられる金利はほぼゼロに等しい融資制度の認定基準にクリアしたとの報告を受けたのも2008年でした。リーマンショックとも重なりましたが、7人の優秀な学生が採用できたのもこのタイミングでした。こうした企業です、日本鋳造協会の安全・環境委員長に時の光好社長が選ばれました。この事実は環境分野ではマツバラがリーディングとなっていた、その現われであったとも思います。そしてここから光好会長が社会で大きく役立たれたことで叙勲の栄にも輝けました。誉です。
何をするかよりも、何故する。ここを大切にする。このことを常に大切にしてください。儲けるのでなく、役立つのです。しかし、同じ行動が常に正しいということではありません。時代に応じた対応もまた必要です。例えば、人(雇用の継続)をお断りするという事例を取ってみます。昨日のブログでも綴りました、リーマンショックの折には全ての人を引き連れて難局を乗り越えました。この時の派遣社員さんの多くが正社員さんになって頂けています。嬉しく思います。多くの人は外国籍の方ですが関係はありません。ただ、あの時と今とは時代が全く異なります。今は超が付くほどの人手不足です。余剰人員があるのであれば社会にお返しすることが善だと思います。当然やっていただく仕事は多くありますので、期間の満了前にこちらから契約解除をすることは一切していません。しかし満期に当たり、基本的にマツバラは正社員化を勧めます。しかし、正社員としてお仕事をお願いする時にはその時点で一番人員を必要としている部署への配属が原則です。こうしたお互いにとってのヨシは社会にとってもヨシになり「三方ヨシ」となるのですが、「その仕事ならやりたくない」という社員さんにとってのダメが出るとするのであれば、ここは仕方がないことだと思うのです。時と場合によって動機(三方ヨシ)善を目指しても、一方にでもヨシにならないのであれば、その折には「お断りする」、こうしたことも出てきます。そしてその力は人手を求める社会のヨシになります。その時代を良く分析し、三方ヨシで行動する。そのための社是・社訓です。当社のロゴマークは松原家の家紋、それは三方ヨシを表す、当社の基本姿勢を示すものです。来週は相対について綴ろうと思いましたが、三方ヨシからどうしても綴らなければならないことに気づきました。こちらが先だと思います。それは時に自分(会社)にとってのみダメで三方ヨシでなく、2方ヨシにしかならないケースでも絶対にその方向に行かねばならないというケースです。それは法令遵守(コンプライアンス遵守)ということです。ここがまた来週綴ります。
さあ、週末です。今週は多くの反省点を残しています。それぞれが来週はしっかり結果を残せるように自責の気概で頑張ってください。他(皆)のために自身が頑張る。これも動機善です。頑張りましょう。まだ体調は万全ではありません。咳が酷く眠れない日が続いています。それでも私も頑張ります。
「Have a nice weekend! See you next week.」
社長 松原 史尚