11月25日(月)
今週も始まりました。昨日はパキスタンでイスラム教徒同士の宗派間の対立により多くの人が亡くなったという話を耳にしました。新聞では日本も軍需産業に本格参入、「防衛装備品」の日本品質を世界に向けて発信していくという見出しが出ていました。装備品とはいえ、人を殺傷するための道具(装備される)に変わりないわけであり、非常に寂しい気持ちになりました。世界情勢を観るとそんなことが言っておられない状況にありことは理解します。それでも戦うのでなく許すことでしか戦争は終わらない。第二次世界大戦終了時の日本に対する懲罰会議でスリランカの代表から「恨むのでなく許すことでしか争いの連鎖は納まらない、それがお釈迦様の教え、故に日本に対する一切の賠償を放棄し、日本を許す」と話したスリランカの代表(後の大統領)の言葉があってこその我が国日本、本当に進むべき道はこの大きな流れで良いのでしょうか。初心に帰る。そんなことが必要なのだと感じています。
世界中で行われている戦争は経済にもじわじわとダメージを与え続けています。今週は明日まで生産調整日です。お互いがお互いを早く許せることを願っています。戦争が早く終わりますように。
今週は先週からの続きです。コンプライアンス遵守について綴りたいと思います。マツバラで働いていただける人たちの多くが転職をしてきた人たちです。その理由は数多くあるのですが、その中でも多くの人たちがその理由として話されるのが、「会社が法律違反をしている」ということです。最近はコロナの関係で、雇用調整助成金の不正受給を話される人が多くいました。恐らく会社にはその意識はないのかもしれない話ですが(朝礼・ラジオ体操・15分以内の時間は賃金カット等)働く側からすると極めて不快な話です。マツバラでは1分から残業は支払われますし、朝礼ももちろん勤務時間内です。先週末に綴ったようにどんな気持ちで仕事をするのか、「儲けるためか、社会(地球・子どもたちの未来)のためか」結果的には収益性に繋がるとしても、何故するのかの動機付けによって起きる結果は全く違うのです。その面でも、人はルールを破るということに実は大きな抵抗感を持っているのです。それは時にお客様との約束であり、会社で決めた楷書のルール(社員さんとの約束)であり、どんなことでも絶対に守らなければならないのです。従って、コンプライアンス(法律)といった社会のルールについては問答無用で遵守する必要があるのです。それは時に会社にとっては非常に辛いことであっても、です。
少し事例を紹介します。働き方改革法案はマツバラの姿勢が一番解り易いと思います。残業時間(詳細は多くの説明あるも省略)を原則毎月40時間以内とする。今年、その基準が運送業にも適応され社会的な話題にもなりました。経営者さんは「働きたい人もいるのだから。」社員さんの立場では「その残業では生きていけない」などと色々メディアでも話が紹介されました。我々の業種では議員連盟を通じて猶予措置をお願いするといったこともありました。結果として若干の猶予期間をいただけたと聞きました。ただ、会社が国に猶予を貰っているということであって、社員さん目線からするとどうでしょうか。国が許しても仲間は許してはくれないと考えるべきだと思います。40時間の残業で生活が成り立つような給与を支払う必要があるのです。人間の欲求の一番は「生理的」二番は「安全」です。自身が求める生活水準をベースとしてそれ以下になるのであれば「離職」になるのは仕方がないことです。それが出来ないから残業で充足することは、特に子育て世代では起きることです。それが法令遵守(40時間以内)で出来るようにならなければならないのです。また、一律何時間残業というのもマツバラでは推奨していません。生理的な欲求が最初なのです。睡眠、飲食等への欲求が正にこの辺りです。そこには個人差があることは当然なのですから。故に、残業は選択制にしています。したい人は可能な限り限度に近く、そしてしたくない人は定時でもOKとするのがマツバラ流です。有給休暇、これも現状は最低5日/年の取得が法令化されています。どんなことがあってもルールは守られなければなりません。故にマツバラでは「有給休暇は取得しない人が悪」ということにしました。現在は定着していますが、最初は抵抗もありました。特に管理職ほど取得しない傾向がありました。コンプライアンス(法律)なのですから問答無用なのです。ということで取得しない人を私が強く注意する姿勢を意識して全体に見せました。現在のマツバラの最低取得数は9日になっています。本当はもっと上げたいのですが、入社年数によって有給休暇の取得可能日数が異なるそうで、最初に有給休暇取得の権利を有した時には10日しかないのだそうです。例えば、通院等日にちを分けて短時間を何度か取得する場合8日は習得し、時間有給を2時間程度年に10回程度取得することができるといったようにするのだそうです。マツバラでは土日を完全に休みとし、なおかつ大型連休、が取得できるように日当たりの労働時間を8.5時間にしています。現在ではこうした企業が増えていますが、マツバラが導入したしたのは私が鋳造部長になった折なので、今から26年前でした。有給休暇は変わらず20日間とすると単純に10時間/人、有給時間が増えたことになります。導入に至っては当初の役員会で猛烈な反対を受けましたが、押し切りました。有給が職場の仲間が理解するのであればいつでも取得できるようにするために人員を1割増やしました。8.5時間制の導入、有給取得のための人員増加、ここにかかる費用は導入当時で年間1億円が必要でした。それでもするのです。現在では休みやすい会社として社員さんたちが様々な掲示板に綴ってくれているのを目にすることがあります。一昨年の取得率は95%レベルでした。本年も90%レベルで推移していると報告を受けています。
マツバラではこうしたコンプライアンスへの対応は、法令が施行された時には完全に遵守されているのは当然として法令の基準をはるかに超える形(社員さんに有利に働くように)で展開するようにしています。例えば、最低取得日数は現状法令上6日、しかしマツバラは既に何年も前から9日以上となっています。
進める上では、大変なことが多いのは当然です。それでも絶対に法令(決め事)は遵守することが大切なのです。マツバラは製造業です、しかも建築や自動車、産業機械等、人の命に関わる重要な部品を生産しています。従って、多くの決め事が存在するのは当然です。その決め事、特にお客様との約束は絶対に守ることを徹底しています。それは「納期」であっても、です。昔、「納期遵守をすると仕事が暇だから出来ると判断され、値引き交渉を受ける。故に、納期は遵守しないのが当然」である、我々の業界にはそんな考えが当たり前の時代もあったと聞きます。その頃から、納期は絶対に守るという姿勢を維持してきたと、先代社長に聞かされています。社員さんにこうした決め事遵守をお願いするのであれば、先ずは会社が法令を遵守するというのは当然だと思います。
今回は働き方改革法案を取り上げましたが、環境等でも多くの決め事が無数にあります。時に遵守しなくても誰にもわからないような法令もたくさんあります。そして全てを遵守することで費用が掛かるのは当然です。しかし、ここでも三方ヨシの原則です、昨今では拡大生産者責任という考え方が一般的です。知らなくて購入しても、大手の企業は協力企業(サプライヤー)の法令違反の責任を負わなければならないという考え方です。判らなければよい。そのような考え方は絶対にダメです。何故か、違反している自分は知っているからです。どんな気持ちでものを造るかという話です。ダメと知りながら行った結果が良いはずはありません。また、知らなかったでは済まされないのも法律です。故に、マツバラでは労働法規は当然として環境に至るまで専門の部署を置いて、最新の法律の改正を入手し、施行時には完全な対応が出来ているようにします。
人手不足時代は予想していました。しかし、これほど酷くなるとは思っていませんでした。そんな時代にあっても人財の確保が(有給休暇が取り易いように余裕を持って)出来ており、国から働きやすい職場の模範として紹介をしていただけるような企業になっています。「決め事遵守はそこまでするか」と言われるほど進めてちょうど良い。私はそう考えています。
この先、マツバラのモノづくりを継承していく皆さんには、絶対に決め事遵守を心掛けてください。当社が社是精研の精神の中で謳う「真実と公平を貫く」とはまさに決め事遵守を言っています。「貫く」とは辞書に寄れば「初めから終わりまで続けとおす」と紹介されています。つまり会社がある限り永遠に続けるということです。しっかりと意識してください。
今週も頑張りましょうね。早く戦争が終わりますように。
社長 松原 史尚