「鋳物づくりを愉しむ②」

「鋳物づくりを愉しむ②」

 12月4日(水)

 インフルエンザの治療も2日目の夜を迎え、昨夜、トイレに行きたくなり1階に降りてくると電気がついていて奥がごそごそ動いている。水曜日はゴミの日であり今日は夜から家中のゴミを回収しているのかな、いつもは私が捨てに行く役回りですがその私が療養中で、自分で捨てるために夜中から準備しているのかなと思いながらトイレに行き目の前の時計を見ると5:30分を指している。床に入ったのは、確か20時を少し過ぎた頃、9時間以上に渡り一度も目が覚めることもなく、一度も咳き込むこともなく、眠ったのはいつの日以来かと思うほどの時間の経過でした。何か、本当に2~3時間しか眠っていない感覚で約10時間が過ぎているのは本当に驚きでした。それで体調は万全かというとそうではなくて、少し頭がふらふらして血圧を測ると85-60といった感じです。90前後はいつものことですが、今日はいつもより少し低めです。熱は完全に平熱、というより血圧のためかいつもより少し低いほどです。ということで万全ではありませんが、徐々に回復しています。

 さて、便利なもので自宅にいても昨日の操業データが送られてきます。昨日の出湯量(生産性だけに限れば、これが全ての総生産量につながる最重要パラメータ)だけを観ると、まだ完全な数字ではありません。昨日から、キュポラの「風の循環」改善に向けた手が打たれています。(昨日は少し長く綴りましたが、管理者の皆さん覚えておいてください。私が常に感じる違和感は「風の循環」なのです。)設備トラブルによる休風が15分とありますので、これが午前中に起きていてその影響であれば良いのですが、本来、もっと改善しても良いでしょう、今一歩ということはどこかにまだ原因があるかもしれません。例えば、循環が完全になり始めているのに、それ以前と同じコークスを入れていては、過剰なエネルギー添加は操業にブレーキをかけます。恐らく、一日を通して同じ排ガス温度の制御をしていると思います。重要なことなので赤字で綴ろうと思います。『伝統的に24時を過ぎて朝に向かって溶解温度が下がっていく傾向があります』それにより夜中以降、品質を守るために、多くのコークスを足して風を入れて(時に酸素まで入れて)コストをかけて、炉を傷めてきました。ただ、それが外気の影響を受けるとして、24時以降の制御温度を920まで上がることで、こうしたこれまで当たり前としてきたコストを下げることが出来るかもしれません。ピンチはチャンスです。これまで出来たことが出来なくなった時も、そこには必ず原因があります。その原因からは、大きな飛躍のチャンスがあるのです。それが以前に綴った「相対」の真理です。

 今回の件では上手くすると過去10年以上に渡って課題としてきた、本来製造条件としては良いはずの冬場に何故か生産性が悪くなるということ。そして私が記憶する中では入社以来永遠に「当たり前」と思ってきた、深夜以降の生産性の低下に大きな改善が出来るのではないかと信じています。ここで着眼して欲しいのは、何故にこのようなことになったかということです。それは変化点会議というものを始めて、毎日の溶解コストに執着してきたから。1円のコストというよりもそれ以下の20銭、30銭に執着したことで見つかったのだということです。今回のことを大きな未来への糧にして欲しいと思います。砂処理も、造型も、後処理も、日々の操業をこうした1円単位のコストで観える化できないでしょうか。こうしたコストの観える化を毎日進めることで、今回のケースのように当たり前としてきた費用さえ押さえることが出来るかもしれません。

 更に、今一つ、今回は熱交換器の排ガス温度の制御でしたが、今ある設備を完全に使いきっているかということです。これも全ての設備に言えることだと思うのです。これまで当たり前に先輩から、後輩に伝えられ日々当たり前に使ってきた設備の能力の全てを使いこなしているでしょうか。自動車でも同じだと思います。免許を持てばエンジンを入れて、シフトを入れれば同じように車は動きます。取扱説明書等詳しく読んだことも無い人がほとんどなのではないでしょうか。FCMXもFRMと大きな差はないと思います。V2もV3もV1と大きな差がないかもしれません。それでも「え、そんなこと出来るの」ということが必ずあるはずです。古い設備の砂処理やショット機ですら、設備が完全に使いこなせていないかもしれません。調整日が今回は1日でしたが、2日もある週もある中で、昨日もいきなり15分休風をしています。休風は品質を悪化させ、立ち上げには多くのコストを要することは言うまでもありません。また、復旧作業は非定常作業で事故は殆どがこのタイミングで起きます。これほど調整日があるのです。一度、取扱説明書をじっくりと読み込む時間を作ってみてはどうでしょうか。ひょっとするとこうした休風の原因となるトラブルも激減するかもしれません。以前と異なり、翻訳機は超優秀です。実習生や特定技能の皆さんにも技術面の取得という面でも大きな将来への貯えになることは間違いありません。また、大きく成長する企業は入社した社員さんが基幹職になるまでの時間が短いという特徴があります。今年入社した皆さんと係長やリーダーが取扱説明書を読み返すことで、多くの改善や成長が生まれるはずです。何よりも、全員が設備を熟知することで異常を観る目が養われ、観察する目が増えることになります。3年もしないうちに新卒社員さんが係長になれれば、恐らく仲間の誰よりも高給取りにもなれるはずです。せっかくマツバラに来たならそんなアドバンテージがあったらよいでしょうね。今回の件はそんな会社にしてみてはどうかとワクワクしながら未来を感じる出来事でした。

 時はちょうど部門長が現状認識のまとめ表に取りかかる頃ですね。新社長がけん引する時代にもきっと役立つことになるでしょう。そんな意味でも、今回の件を参考とした現状認識のまとめ表が出来るかもしれません。是非とも頑張ってください。「圧倒的社員満足の創造」、絶対に出来ますから。

社長 松原 史尚

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