「新卒の募集について」

「新卒の募集について」

12月13日(火)

 今日のブログは、現在始まっている令和6年の春に向けた新卒の採用にむけたプロジェクトのメンバーに宛てたメールを利用してみました。

 最近、このブログを多くの社員さんや協力企業さんが読んでくれています。従って、新卒採用に向けて、私が考える方向性を見るには良い機会だと考えたからです。長文になりますが、ご容赦ください。

 さて、本文です。

 良い機会なので、私の考えを話します。

 ここ数年、新卒社員の募集についてあまり積極的な動きを見せてきませんでした。

 しかし、ここで何故新卒の募集をプロジェクトまで組んで進めようとしているのか、そこには明確な理由があります。今こそ、募集のタイミングが来たと感じているからです。

 皆さんを採用した就職氷河期からこれまで、「100年に一度」「1000年に一度」そんな言葉を聞くことが何度あったでしょうか。そのような緊急事態に対応することに精一杯でした。  

 振り返れば、一つ舵を切り間違えたら会社は消えていたと思うことばかりです。  

 とはいっても適当に経営をしてきたわけではありません。 先ずは、皆さんを中心として採用することが出来た皆さんの育成に全力で取り組みました。「幸福創造」WHITE活動を覚えていますか。表現は「人を大切にする」に変更しましたが、就職の氷河期とは言え当社のような中小企業に入社してくれた皆さんに、どうせ一度の人生ならば幸せに思える人生を歩んで欲しかったのです。

 その間目指してきたのは「FC小物ファーストコールカンパニー。」鋳物は5000年以上の歴史があり、文明は鋳物技術の進化と共に成長してきたと言って過言無しです。産業に絶対に必要なものです。その中でも、ライバルたちが避けていく分野に徹底して取り組んだ時期です。いずれにしても、このころから「社会(お客様)の困った」を解決するという姿勢に徹底して取り組んだのもWHITE活動があったからです。今は結婚して離れていきましたが、皆さんと同じころの仲間が考えてくれた素晴らしいスローガンでした。 そして、その経営は「利他の経営」に移っていきます。自動車部品製造業から、SDGs部品製造業に進化していく、それは世界平和の一翼を担っていくこと。大きな夢を口にしました。しかし、その中でマツバラは進化を見せていきます。それは、皆さんの成長です。30代の係長が次々に誕生していく中で、私は会社が鋳物工場、言葉悪く言えば町工場のままで良いのか。そんな気持ちが出始めたのが2017年です。そして2018年「上場する」という大変な言葉を口にします。

「上場する」言っては見ましたが、どうやってするのか。その具体的な方法が頭にあったわけではありません。しかし、台頭してきた皆さん(林係長含めた就職氷河期採用のプロパー社員)と夢のある話がしたかった。

「どうやって上場するのか」 私は未来に向けて3つのものが足りていないと感じていました。

① 収益性 (物量に頼らない高付加価値を生産する収益性)

② 人財 (皆さんが成長してきたというものの本気で上場を目指す集団でない)

③ 設備 (30年以上使用してきた老朽設備の更新)

 こんな無いない尽くしでしたが口にしなければ何も始まらない 。

 そこで目指した令和2年のスローガンが

「月平均1800T販売で売上50億のバックキャスティング」  

(上場を目指した行動開始 働く社員さんを幸せにする経営革新) (「個人能力」から「組織力で発揮する能力」への企業体質の転換)

だったのです。先ずは、量を売る、量が生産できる仕組みを構築しようとしました。

 しかし、この方針で経営を始めて早々にコロナショックがやってきます。いきなり目指した方向性に赤信号がともりました。しかし、このコロナショックはマツバラにとって千載一遇のチャンスとなりました。

 10年近く中期経営計画に記載してきた補助金活用による設備投資、驚くことですがその投資金額までぴったりでした。戦う設備に12億円掛かる。それを、補助金を活用して進める。そのように夢見てきたことが実現しました。そして50%を補助金で出来たことも素晴らしい結果と感じました。これにより課題にした③が解決できました。

 更に幸運は続きます。パンデミックを機会に世界のサプライチェーンが崩壊しました。また、時同じくして「カーボンニュートラル」という風潮が出てきます。こうした流れの中で「多様性」という言葉が生まれ、大量生産と多量消費を良しとしない、高付加価値な小ロット多品種を求める機運が高まってきたのです。こうした方向性の中で

令和3年度

「大転換」 コロナ後の多様化社会で未来を造る  

(「人を大切にする」衆知の経営と個の成長で幸せ実感経営の実践)

 マツバラは、この方針のもと大躍進へと歩を進めます。私は「大躍進」という言葉を使用したかったのですが、この言葉を使用すると歴史上上手く歩が進んでいないとの指摘から、役員会で「大転換」に言葉を変えたことを今でも覚えています。しかし、これまで進めてきた「1個から造る」という技術開発、そこに多様性を求めた国の支援が重なり、新たな設備が躍動してこの高付加価値戦略は完全に軌道に乗り始めました。また、嬉しい誤算もありました。皆さんだけでなく、設備の入れ替えを通したプロジェクトの中で、多くの人材が光り始め恐ろしい成長を遂げてきました。つまり、まだまだ完全ではありませんが②人財確保も進みだしたのです。「個人能力」から「組織力で発揮する能力」への企業体質の転換、生産性の著しい向上が始まったのは令和2年からでした。まだまだ課題は多いですが「人を大切にする」衆知の経営を様々なプロジェクトで実現してきました。今回の求人も凄かったと思いませんか。あなたを中心に皆さんが造り上げたホームページは素晴らしいものでした。そして、このホームページは参画した皆さんの本音だと思っています。私は全く関わっていません。故に、見る人の心を打ったのだと思います。その結果が、定員を大きく超える応募になったのでしょう。その他にも、様々なプロジェクトを成功させてきています。夢に描いた量に頼らない高付加価値品の製造販売も出来るようになり、収益性も伴ってきました。当社が収益を上げ始めたのはこうした皆さんの成長、この成長があったからでしょう。まさに衆知の経営から生まれてきた個の成長です。まだ幸福の実感に入っていませんが、そこに至る環境は整ったと思っています。収益は確保できるようになりました。お客様が収益を上げられていないのに強固な値上げもお願いしていますが、収益は小・中ロット多品種への生産シフト、また生産性の向上により確保できたものであり、人件費、減価償却費、修繕費、消耗品費、現状では光熱費など、そのほとんどがお客様に価格転嫁できていません。上げていただいたのは直接の材料費、そして人件費の一部のみです。自信をもって収益を上げれば良いですし、生産性や改善を進め、収益力を高める、そしてこの大変な時代をお客様と「痛み分けする」この姿勢は絶対に曲げるつもりはありません。現状、多くの鋳物屋さんが倒産、廃業、縮小の道へと進んでいます。その中で、しっかり供給責任を果たしていくことが重要であり、我々の責務です。そのためには、確固たる収益能力をマツバラが持つことこそがお客様に、真の安心を与えるのです。  

 我々が成長していった一方でコロナ禍は多くの人たちの心を病んでいきました。また、「With コロナ」の時代は人間の生活習慣を全く変えていきました。必要とされる産業、そうでない産業に恐ろしいほどの格差を生み出しました。そして、半導体不足などを引き起こし、その分野への政府の大型補助金は市場の収益性を極端なアンバランスを生みました。ほぼ投資ゼロで新たな工場、新たな設備を手に入れ、供給不足の品物を一気に投入していくのです。収益が上がるのは当たり前です。この収益を利用し、収益性が十分でない産業から奪い取るように人材を確保していく現象が起き時始めました。恐ろしい時代です。しかし、鋳物は産業の基礎なのです。絶対に必要なのです。つまり我々は人財さえ確保できれば、大きな成長が遂げられるのです。日本には金利が上げられないわけがある、必ず円安に振れる、そして信じられないほどのインフレが始まる。完全に次代を読み切れたのも勝因でした。その社員さんを絶対に守るために、3%の賃上げは一昨年しました。設備投資も補助金によるものとはいえ、今進めれば20億円はかかる大仕事です。よくやれました。やり残しは人件費、3%では到底追いつかないレベルです。4月には更なる賃上げを進めます。しかし、それが出来る企業体力をつけたのは皆さんの成長によるものです。

 こうした中で、打ち出してきた今期の方針が

令和4年度方針

圧倒的ES(社員満足)の実現で人手不足社会の部品素材を支え

最高級のCS(顧客満足・社会満足)を創造し

具体的なWS(世界=地球満足)実現への使命を果たす

 この方針は、新たな当社の社会的役割、また5年かけて目指すべき方向性の初年度ということで、今期の基本スローガンとしました。目指すべき方向性を全社員で共有してこれから5年間マツバラの大きな成長の方向性となるように各自が理解して欲しいと考えます。このスローガンに向かって進むことが必要になる時代が間もなくやってくる。まだ、社員の皆さんにはピンとこないかもしれない。そこで「人を大切にする経営の実践で世界の部品素材を支え世界平和の実現に寄与する」2023年まで、このわが社の社会的役割を唱和します。と記入しています。

何故5年と話したかが私の中期戦略です。

「圧倒的ES」は賃金を上げる、有給を増やす、福利厚生を充実させることで生まれるものでしょうか。

 私はそうは考えません そこで私自身が考えたのが「マーズローの5段階欲求」なのです。

① 生理的欲求

人間が生きていくために最低限必要な生理的欲求

 一般的に日本ではこの欲求は満たされていると言われていますが、私はそうは思っていません。何故なら、隣の芝生は常に青く見えるからです。自分以上に満たされている人を見ると、そこに不満が必ず出ます。「働き方改革」これを私はチャンスと捉えました。この改革の推進は中小企業レベルにおいて、もしも100%実現するとしたら、それはお客様にお叱りを受けることになるかもしれません。「当社の社員でもそんな待遇では働いていない」と。しかし、これは法律なのです。守っていて当たり前なのです。有給は取って当たり前の会社にやっとなれました。そして来年以降は金曜日、月曜日を合わせた「4連休」、リフレッシュ休暇へと歩を進めていきます。

② 安全欲求

 このことも日本社会では満たされていると言われていますが、当社においてはそうではありませんでした。古い設備が稼働し、トラブルの連発が生産性を落とすまでに至っていました。トラブルは非定常作業を招き、大きな事故へと繋がっていきます。幸いに、ここ数年で大きな設備投資が補助金によって具現化出来、トラブルも少なくなってきました。

  加えて、日本ではなくなったと思われてきた「安全欲求」が満たされない事態に陥ろうとしています。それが超インフレ社会の到来です。幸いに当社ではここ数年の君たちの成長により大きな改善が進み、来期大きな昇給を実施して、この欲求も満たしていけると思います。

③ 社会的欲求

「帰属欲求」とも言われますが、社員の皆さんがマツバラに帰属し安心して働いていける環境を作ること。そしてアットホーム的な会社の雰囲気を作り出していくこと。まさにマツバラが目指してきた人を大切にする経営はここにあります。WHITE活動の目指すべきところもここにありましたね。「利他の経営」「ありがとうの経営」全てはこの社会的欲求を満足することを目指してきたのです。 そして、この先我々が目指さなければならないのはここからだと思っています。故に5年かかると言っているのです。

④ 承認欲求

  昨今の新入社員さんに対する指導の仕方などを見ると非常に課題が多いと思います。これまではアットホーム的に「見てな。」それでよかったと思うのですが、これからは絶対にいけないと思うのです。しっかりと育成プログラムを作成し、日々の成長が感じられる教育を進める必要があります。ここが出来なければ、新しい仲間を迎えることが出来ません。目指すべきところは、皆さんが10年かけて成長してきた道のりを3年で歩ませるためにはどうしていくのか。そして、新入社員さんたちが、日々の成長を感じ、承認欲求が満たされていく会社にランクアップすることが大切なのです。ここが2年目に目指すべき方向性です。そして、このプログラムが完成する3年目に新卒が入ってくること、それが、私が今こそ大型採用の時が来たと言っている意味なのです。

⑤ 自己実現欲求

 ここから先は未知の領域なのです。しかし、ここまでのことを進めてきた皆さんであれば実現できると感じています。自己実現は簡単にできることでしょうか。私が「上場」この言葉を使う意味はそこにあるのです。鋳物だけでの上場では仮に上場できても何のために上場したのかということになってしまいます。どんな形を目指していくのか、それは皆さんが造り上げていく未来です。もしかすると、それは「上場」という形ではなく、鋳物のスペシャリストとして強大な鋳造業になる事なのかもしれません。もしくは、新たな仲間たちと関連業種、ある時は異業種にまで踏み込み、「ありがとう」の経営を通した企業再生のスペシャリストへと進んでいくのでしょうか。皆さんが造り上げる未来に制限はありません。一度しかない人生です。大きな企業に入って、駒のような人生を進むもよしですが、そこに自己実現は存在するでしょうか。皆さんが、この自己実現へと歩を進めていく。これが、私が目指す圧倒的なESなのです。

 そして、そこに到着するために必要な切り札が新たな情熱です。

 上では新たな仲間と書きました。この先大変な時代が来ることは間違いなく、更に大変な時代が来ると私は思っています。その時に、金さえもらって休みだけあればよいというのでは、本当のES(社員満足)は生まれてきません。当社の社会的な役割までを変えると、昨年宣言したのは、こうした自己実現に至るほどの社員満足度の向上、更には「自己超越」です。人は必ず死にます。そして死を迎えるとき、「よくここまで出来たな」そう皆さんが感じられるような会社にする。そこに向かって、歩みを進めていくのが3年目以降です。間もなく、製造業が部品素材を支えられない時代がやってきます。その中で、我々が光り輝くことで、CSは実現できます。その先には世界平和への実現に寄与するマツバラがあるでしょう。現在我々が進める環境への取り組みも必ず脚光を浴びる時が来ます。つまり地球満足です。僅か3年でここまでの成長を見せてきた皆さんです。必ず出来ます。そして今こそその皆さんを支える協力者が必要なのです。これがわが社の目指すべき方向であり、今新卒を募集する目的なのです。「令和の京セラ」そんな風に言われる会社を皆で造ってみないか。この感覚を共有する人を募集する、それが採用の方向性です。

社長 松原 史尚

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