1月元日(日)
正月の元旦は社員の皆様、そしてご家族の皆様へ毎月の給与の手紙を書くことから始めました。12月は給与の明細が社員さんに手渡されるのが1月早々になります。そのため、私の手紙も新たな年が始まってからの手渡しになります。そのため、ここでは昨年の振り返り、また新年に向けた抱負を書いています。その内容を紹介することから、今年のブログはスタートしようと思います。
圧倒的ES(社員満足)の実現で人手不足社会の部品素材を支え最高級のCS(顧客満足・社会満足)を創造し、具体的なWS(世界=地球満足)実現への使命を果たす
本年度(令和4年4月1日~令和5年3月31日まで)の基本方針書に於いて、基本スローガンとして掲げたテーマです。そして、このスローガンを補足する説明文として以下のように続いていきます。
今期のスローガンは新たな当社の社会的役割、また5年かけて目指すべき方向性を、5年間の初年度ということで基本スローガンとしました。目指すべき方向性を全社員で共有してこれから5年間マツバラの大きな成長の方向性となるように各自が理解して欲しいと考えます。 2021年新型コロナウイルスに起因した混乱は継続し、社会的なサプライチェーンの崩壊、物流の混乱による物不足と世界中が市場に放出した未曾有の財政出動が低迷経済の中での物価の暴騰という大変な年へと導きました。また働き方改革法が施行され、その法令順守により社内的にも人件費が高騰する事態となりました。そのため、2021年は材料高、人件費の高騰の二重苦の中で、世界経済の混乱により受注が低下する最悪な経営環境となりました。一方で、時代背景特有の公的支援の確保ができ、念願の主要設備の更新を2022年にかけて実施することが出来ます。その結果、昨年度の重点目標とした多様化社会に追従する小ロット・多品種の高付加価値生産を可能としたうえで、生産能力が年間25000トンとなり、超インフレ経済の流れの中で年商70億円が視野に入る企業の潜在能力向上をもたらしました。これは設備更新を通して追及した人材教育が進んだことに起因しています。また、こうした取り組みは、2022年度以降、マツバラが社会を変える程の方向性を示してくれています。SDGs、カーボンニュートラル、社会が求め、地球を守るための行動を私たちがけん引することは決して夢ではなくなりました。2021年、東京大学との連携で行われたサポインにより導入された溶解関連設備が、今後進むべきDX時代の幕開けとなり、こうしたDXの活用がマツバラの大成長をけん引していくはずです。社員一人ひとりが取り組むべき課題も明確になりました。その課題(目標)を達成することで得られる自己実現を通し、マツバラは働く全ての人々が満足感あふれる会社へと変身していきます。その満足感が、超人手不足社会の中で顧客満足へと進化し、社会、地球に安心感をもたらす姿へと躍進していくのです。
ここに書いた通りの時代背景となり、そしてその時代の中で目指した通りの経営をすることが出来ました。
昨年の今頃は物価の上昇は企業レベルの話でした。しかし、今インフレは皆さんが感じられるように、個人レベルで大きく痛感するに至っています。こうした時代背景の中にあり、円安の恩恵を受けた最終製品販売企業は収益を確保しています。しかし、その部品を提供する企業が受けている仕入れ原価高騰が価格に反映されていません。昨年までの当社もそうでしたが、元々の収益率がそれほど高いわけではありませんから、こうした価格転嫁が確実にできなければ、収益率は下がっていくばかりであり赤字へと転落することは避けられません。ましてや、社員さんの給与を上げることなどは絶対に出来ません。「今は苦しくても、いつかは良い時が来る」今尚、ほとんどの経営者が信じて疑わないことですが、今度ばかりは違います。進化できなければ、消えてしまう時代が到来しています。つまり新時代の幕開けなのです。
新時代とはどんな時代か。第3次世界大戦は既に幕が上がっていると言えます。アメリカという世界のボスが圧倒的な力で世界を押さえつけてきましたが、そこに新たなボス中国が台頭してきています。軍事力でも、戦闘機では既に中国が超えているという見方が正しいと考えます。昨年、一世を風靡した映画トップガン、この映画の想定が戦闘機の性能が圧倒的に敵国に劣っており、それをパイロットのスキルとチームワークで乗り越えていくストーリーでした。あの映画に皆がのめりこんだのも、そこにリアル感があるからです。その戦闘機の差を作り出すのが半導体技術の差であるのだと思います。そして、新時代、日本が再び半導体の開発・生産拠点として動き始める時代だと考えます。アメリカを中心とする多くの国が日本の台頭を望んでいます。既に、多くの地方自治体が無償、もしくは大きな優遇処置で土地を半導体を手掛ける企業に提供し、国が莫大な補助金を投じて工場、生産設備投資が進んでいます。戦争なのです、仕方がないことでしょうが、国を挙げての支援がこの先も継続されていくでしょう。超人手不足社会の中で、強力な新たな産業が誕生するのです、初期投資がほぼ公共の支援により賄われ、その上造れば造っただけ売れる市場が存在するのです。収益が上がるのは当然です。その収益をベースとして、インフレ社会の中で高賃金で人材募集をかけていく。その地域に存在する既存企業にとっては打つ手もありません。既に、こうした事態は日本中で始まっており、悲鳴にも近い報告が全国の仲間から聞こえています。
それでも鋳物は必要です。半導体は制御する機械、農機具、自動車、工作機械、建設機械、産業機械、家電等々があってこそ活躍するのです。その部品素材を支える鋳造業は絶対に必要だということです。そのために、鋳造業に働く人々が新時代の中で平等な扱いを受けること、いや少々ハードな作業環境の中で世界の部品素材を支えるのですから、それ以上の待遇がなければならないと考えます。その待遇を造って行く。それが今年目指すべき方向です。
幸いに昨年、多くのお客様からのご支援を頂戴し、これまで既に実施した賃金に対する値上げを認めていただけました。まだご理解いただけていないお客様にはこうした時代背景をご認識いただきご支援が頂戴できるように進めます。しかし、新たな時代の始まりです、お客様も非常に厳しい環境の中にあることを理解しなければなりません。全ての産業の機械製品を造っている企業全体がこうした超人手不足社会の渦に飲まれていくのです。つまり、その時代の中でお客様が存続できる支援体制がとれることも重要なのでしょう。この先進めなければならない賃上げは自助努力で対応していきます。
原材料、燃料、電気、こうした直接の材料費は買い手に負担をお願いする事は避けられませんが、人件費に加えて、修繕費、消耗品、その他全て上がる費用程度は自助努力で賄っていく程度の改善は進めていかなければなりません。幸い、マツバラでは昨年大きな設備投資を行い、生産性と品質で大きな成長を実現することが出来ています。また、人の採用にも成功し、生産余力も十分に残しています。当面、全ての産業で欲しても直ぐにものが入ってこない時代は続くでしょう。新品でなく修理して使用することや、中古品を利用することがこの先益々社会のニーズになるでしょう。つまり、小ロット・多品種型のモノづくりへの対応も益々求められてきます。こうした小ロット対応技術(設備)も昨年しっかりと対応が終わっています。
これまでも得意としてきた、小物製品に加え、小ロットでも大きな競争力をつけることが出来ました。冒頭に掲げた、本年度の目指すべき方向性は狙った通りに舵を切ることが出来ています。この先に待ち受ける、超人手不足社会、また当面継続するであろうインフレ時代。この時代に確実に対応し、お客様にそして社会に安心が届けられる企業に本年は進化していきます。また、新たな設備と平均年齢35歳レベルの青年基幹職たちの躍動による生産性の向上は2020年度比8%程度のエネルギー効率の改善を2022年には実現しています。今年1年、更なる精進を重ね、更にSDGs、カーボンニュートラルに向けた改善の一助となるモノづくりを進め、WS(地球満足)に向けた取り組みもさらに加速して進めていきます。
こんな内容を、社員の皆様、そしてご家族の皆様に12月の給与の手紙として送らせていただきました。
今年も一年、暇がありましたら、またブログを覘いてください。今年もよろしくお願いいたします。皆様にとりまして、実り多き素晴らしい年になりますことをお祈り申し上げます。そして、今年もたくさんのハッピーがお届けできますよう、私も精進してまいります。今年1年よろしくお願いいたします。
社長 松原 史尚