「諸行無常 愛別離苦」

「諸行無常 愛別離苦」

1月19日(木)

 本日私が全幅の信頼を寄せる製造部長の奥様の告別式に参列してきました。別れは突然にやってきました。

 製造部長は転職組で中途入社でマツバラに来ました。最初は製造現場のスタッフとして入社してきました。私自身が製造部門長として彼の上司になった時からの印象はとにかくユニフォームが奇麗であるということ。鋳造工場というハンディキャップを全く感じさせない真っ白なユニフォームを毎日着て出社してくる。「こんな人は絶対に仕事が出来る」、そんな感覚の中から係長、課長、次長、部長と瞬く間に成長してきてくれました。彼の仕事は常に緻密なのです。そして小さなことも継続してやり続けられる。また難題も達成するまであきらめずに取り組み続け最後には必ずその課題を克服してくれるのです。私が思い付きで話したような小さなことも必ず覚えていてくれて、月次報告、その中間報告でも必ず経過まで報告くれる。近年のマツバラの急成長は彼の成長によるところが大きいと確信しています。「仕事が早い、そして確実」。その背景には絶対に奇麗なユニフォームがあったと確信します。本日の会葬御礼の中にその真実を見つけることが出来ました。なくなった奥様は大変なきれい好きで、中でも洗濯が趣味と言えるほどの達人であったとのこと。最近一人暮らしを始めた子どもたちのところに出向いてまで洗濯をされていたとか。奥様のおかげで毎日きれいなユニフォームで出勤でき、そのきれいなユニフォームのおかげで彼が最高の仕事が出来ていたのだ。そう実感させられました。

 もう一つの趣味と言えば旅行、きれいなところが大好きで紅葉狩りやお花見に出かけられたこと、昨年勤続30周年を迎えたお祝いに会社から送られた旅行券で伊豆に家族で行ったことが本当に良い思い出になったという話も紹介されていました。彼のリーダーシップで製造部は大きく成長し、会社の窮地を救う大きな開発をいくつも成功させてくれました。この先はもっともっといろいろなところに旅行に行けるはずだったのに。「愛別離苦」四苦八苦の一つ、愛するものと別れなければならない苦しみ。54歳という年齢はあまりに若い、若すぎます。毎日、きれいなユニフォームで彼を送り出してくれて本当にありがとうございました。そのきれいなユニフォームのおかげで多くの仲間たちがご主人のリーダーシップのもと大きな成長を遂げることが出来ました。時代は大変な物価高ですが、マツバラはしっかりとした賃上げをすることも出来ます。マツバラは製造業なので、製造部の成長が収益力をけん引していきます。30年以上に渡り毎日あなたがユニフォームをきれいにしてくれたから今のマツバラが日本国内だけでなく「FCと言えばマツバラ」という会社に成長することが出来ました。心からの感謝を申し上げご冥福をお祈り申し上げます。

 葬儀の最後の喪主のお礼の中で最近奥様が体調を壊されゆっくり治していこうと正月に家族が揃った折に話し合ったことが紹介されました。そんな体調不良の中でも、近くで一人暮らしをするお嬢さんの家に出向いて洗濯をされていたとの話がありました。体調がすぐれない中でもご主人や子どもたちのお世話をしていたのだと。54歳というあまりの若さにこうした背景があり、子どもさんたちの泣き崩れ方も本当に心配するところです。それでも親というものは、外に出て美味しいものに出会えば、自分で食べてしまうのがもったいなく持ち帰って子どもに分け与えようと思う。夜中におむつが濡れれば、どんなに疲れていてもその交換をするもの。どこかに出かければ帰ってきて元気な姿を見るまで心配しているもの。自分が生きている間はいつもいつもこどもたちを心配をしているものなのです。特に母親の子を思う強さは言葉に表現できないほど大きなものだと思います。自分の母を見ていても、妻を見ていてもそう思います。他界された今でも皆さんが笑顔でいてくれることを望んでいます。ですから自分を責めて、悔やむのでなく、お母様に感謝して笑顔でいること、そして時々で良いからお母さんを思い出し、また感謝すること。それが一番お母さんが望まれることだと思います。

 家族葬という小さな空間の中で心の共鳴に私自身も一緒に泣いてあげることしかできませんでしたが、彼にはマツバラの中核として、幹部として、この先大きく成長していくマツバラをけん引していく姿を天国の奥様に見せることで奥様を笑顔にして欲しいと思います。来週にはタイに一緒に行きマツバラの成長を通して社会を幸せにするために学んで来ます。(彼は出張を辞退しましたが、前に進むためにも同行を私が勧めました)そしてタイには素晴らしいお寺がいくつもあります。最終日にはこうしたお寺にも訪問し奥様のお浄土(天国)での幸せを祈りたいと思います。なくなって49日の間はまだこの世におられるとか。きっと49日の間です。旅行が大好きな奥様も寄り添ってタイについてきてくれるはずです。旅行の楽しみはどこに行くかよりも、誰と行くかだと思います。49日が過ぎてお浄土(天国)に旅立つ前に彼と一緒にタイについてきてくれたら。そして笑顔で見守って頂けたらそう思います。

 愛別離苦 本当に辛いことでしたが、必ずどこかでその相手は見守ってくれています。社員は家族、そしてそのご家族もまた家族なのだ。いつもそう思っていますが、改めてそのつながりの大切さを感じさせられました。

 今日はハッピーではないけれど、多くのハッピーを創り出し多くの人を笑顔にできるように精進していくことを誓って今日のブログにします。

社長 松原 史尚

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