1月24日(火)
過日、当社のメインのお客様を訪問させていただき値上げのお願いをしてきました。結論的にはお願いした値上げ額の満額のご理解を頂戴することが出来ました。本当にありがたいと思います。今回の値上げで約9割のお客様にご理解を頂けたことになります。
一方で、今回各お客様にお願いした値上げ額は実際に上昇している製造原価比べるとはるかに低い金額です。多くは修繕費や消耗品費が大きく値上がりをしています。また大きな設備投資もしましたので減価償却費も大きく上昇しています。その他全ての購入費用が上昇していますが、そのほとんどは値上げの対象としていません。また賃上げのための価格上乗せは既にこれまでに実施していた賃上げ分であり、本年4月に実施する賃上げ分は一切含まれていません。また、この先も4月に実施する分の賃上げ分についてはお客様にお願いするつもりはありません。
我々が製品を造り販売することが出来るのはお客様が市場での競争力を確保しているから出来るものであり、上昇した価格をそのままお客様に請求していたのではお客様の競争力を損ねることになります。現に企業間物価上昇に対して市場の物価は大きく下回っています。こうした時代背景の中で競争なのです。大切なことは、生産性の向上や品質の向上、少しでも安い材料をうまく使いこなす等、改善を進めることです。そしてこの改善を進める中核となるのが「人」だと思うのです。この人の心に「安心」がなければ、絶対に良い考えは浮かびません。そう考えると、儲かったから賃金を上げるという理論でなく、仮に儲かっていなくても賃上げを進めることが大切であると考えています。そしてこの人が創り出す成果によりお客様と「痛み分け」が出来るようになると考えるのです。
実際にマツバラでは一昨年2020年度に平均3%の賃上げを進めました、特に、子育て世代、若年層、パートさんといった物価上昇の影響を大きく受ける人たちを重点的に賃上げしました。「未曽有のお金のバラマキを世界中がしてる物価が上がるのは小学生でも理解できること」「日本には金利を上げられない理由がある。必ず円安は加速する。この円安が更なるインフレを招く」。このように社員さんに話して先行した賃上げを進めました。また、同様に設備投資も2020年からの2年間で一気に進めました。また働き方改革法案も遵守しました。その結果、人件費、減価償却費が大きく上昇し半導体の影響を受け受注が伸びない中で、2020年度、21年度はとても自慢できる決算とはいきませんでした。一方でこの逆風の中で賃上げをしたという種がしっかりと社員さんの心の中に蒔かれたと思います。またお客様にもこの時期に大きな設備投資をしたという安心の種も蒔けたと思います。「やがて種は目を出し花開く」のです。今、その種が実りつつあることを少しずつ実感をしています。そしてその実りからは蒔いた種以上の種がまた収穫できています。今、時代は「賃上げムード」一色です。このムードの中で新たな種を蒔く時が来ていると思います。そして、その種が先ずは社員さん、そしてお客様を安心させる種になり花を咲かせ再び種が収穫できる。そんな循環を回していくことが重要なのだと思います。
最近は社員さんだけでなく、多くの経営者仲間からも「ブログ読んどるよ」と聞くことがあります。こうした皆さんに向けて「皆さん今こそ社員さんの心に種を蒔く時です」。必ず種は花咲きます。昔から「蒔かぬ種は咲かぬ」という名言があります。どんなに今が苦しくても、種もみだけは食べたらいけないのと同じです。歯を食いしばって、種蒔きしましょう。必ず社員さんたちは応えてくれます。がんばっていきましょう。
社長 松原 史尚