「変化を楽しむと進化になる」

「変化を楽しむと進化になる」

3月1日(水)

 さあ、いよいよ3月です。素晴らしい春にしていきたいです。

 昨日、久しぶりに良品率向上委員会に参加してきました。そこで30代前半の係長さんの言葉に感じるものがありましたのでブログに書いてみようと思います。昨日のブログに書こうかとも思ったのですが、どうやらこの件も少々長くなりそうで、昨日のブログも結構な長文になってしまったので一日ずれて今日のブログに記入しました。

 それは機械に取り付けるある部品の選定に関する内容でした。「機械メーカーさん推薦の部品があるのですが、市場には安価な代替品が存在しているのです。しかし現状発生している品質不具合を考慮するとメーカー推奨の部品を購入した方が良いのではないかと考えている。しかし現行品の価格は約2倍します」。とのことでした。ここで考えて欲しいのは、その部品がいくらするのかということです。その部品は樹脂、もしくは硬質樹脂で出来ているもので仮に1つ200円として、それが倍になって400円、一度に1000個使用するとしても差額は20万円のレベルの話ではないかと想像しますが、恐らくそれ以上に高価なものだとは思えません。一方で現状で起きている課題を解決できた時に出てくる効果金額はその数十倍出ます。そしてこの効果金額が永遠に続くのです。

 もちろん、純正品と海賊品で安価な海賊品が機能する場合もありますから、20万円は大きな金額ですのでこうした改善は必要です。しかし、今回のケースはメーカー推奨の部品と既存品には明確な違いがあり、現状の課題を解決できることが期待できるとメーカーが推奨しているのです。こうしたケースは即座に進めるべきです。先日も酷似した事例がありました。鋳型の中に溜まったガスを逃がすためにドリル穴をあけているのですが、このドリル穴を少しでも長く使用する工夫を進めてくれた結果、交換が遅くなり著しく良品率を低下させることになりました。このドリルが3本使用されるのですが、このドリルの価格は1万円しないものです。この延命を考えて出来た改善は15千円程度、出した損失は3000千円以上です。製造業にはこうした事例が山ほど存在しています。

 先ずは、既存を良しとせずどんどん進化を求めることです。特に商社さん、メーカーさんの話(情報)はどんどん聞く機会を持って欲しいと思います。そして迷わず自身の判断で決めていけばよいと思います。(もちろん、稟議規定決め事遵守でお願いします)

 経験談を話します。私がアメリカで見た材料を日本のマツバラに推奨した時、日本での既存品との価格差は4倍高価なものでした。しかし、絶対に効果があると信じてマツバラに使用することを提案しました。結果として、その材料そのものの代替としてコストは2倍に跳ね上がりました。しかし、この材料は補助材料の中でも非常に使用量の少ないもので上昇したコストは40万程度となりました。一方で、この材料を使用することでメインとなる補助材料に使用率を2割低減することが出来たのです。その結果、この材料自体は40万円のコストアップになったのですが主材料の低減効果により逆にトータル的に50万円程度の材料のコスト低減になりました。話はここで終わりません、何故、これほど高価なものを推奨したのか、それはアメリカで見た砂の品質が日本で見たどこよりも優れたものであったからです。その砂の改善がもたらした結果は、1年目に8千万程度、そこから歩留まりの改善にまで効果は進みトータルでは年間2億円の効果金額をもたらすことになりました。

 昔の成功体験をいつまでも話すことを良しとは思いません。しかし、こうした発想は未来をつくる人たちに持って欲しいと思います。

  1. 先ずはしっかりと推奨してくれる人の話を聴くこと
  2. そして何のためにそれをするのか、解決するべき課題を明確にすること
  3. 起きるべきリスクをあらかじめ予想しておくこと
  4. そのリスクを見極める変化点管理を確実に準備すること
  5. 仲間の助言をもらい計画をより完全にすること
  6. 自信の判断を信じて先ずはやってみる(チャレンジする)
  7. 出てきた変化点を推奨者と日々情報交換をし、正しく使用できているかどうか、狙った効果が得られているかを随時確認する。
  8. その上で、さらに改善するべき点を考えて随時進めていくこと
  9. その上で狙った効果が出ていない場合には「止める勇気」をしっかり持つこと。止めても、再度実施する検討は何度でも進めることを良しとすること。

 このような改善点は山ほど会社の中には存在していると思います。どんどん進めたら良いと思います。

 一方で、変える時に十分な注意を払うことがあります。それは材料や副資材量といったものに対する変更です。私の成功事例を今回書いたのには、もう一つ大きな意味があります。もしも打った手が逆であったらどうでしょうか。実際、変更した材料自体は月額40万円程度のコスト低減になっているのです。ここだけに着目してしまうと大変なことが起きてしまいます。逆の効果が出る場合があるのです、目先40万円のコスト低減になりますが、トータルコストで2億円の損失を被るようなことは製造業には存在します。従って何かを変える時には、一部だけを観るのでなく総合的な判断も必要になるのです。従って、原材料、砂の材料、接種等、一度使用することでその材料が工程の中で循環するあらゆるものの変化については十分な検討とその変化を確実に抑えていく管理体制をあらかじめ用意しておくことが大切です。

 しかし、こうした準備を進める過程、またその変化を追いかける過程も夢中になれる時間です。「変化を楽しむと進化になる」今日伝えたかったことは、現状に留まろうとしないこと、何か新しいことを始めてみること。その結果、時間はあっという間に過ぎていきます。そしてその先には必ず大きな成長があるはずです。目先のコストに捕らわれていると何も見えてきません。お金を使う勇気も持つこと、しかし使っただけの責任感、特に結果を求めていくこと。それは目先失敗でも構わないのです。先ずは、変化を楽しむ。しかし、やる前の計画をしっかりと情報(衆知)を集めて立案すること。その準備すら楽しい時間になるはずです。「変化を楽しめる人になること」そこに未来は生まれてきます。一人ひとりが変わることを恐れない社風、むしろ変化を楽しむ社風をつけていくことを特に来期は重要視して欲しいものです。IT DX カーボンニュートラル、5年待たずして目の前の景色は一変します。その昔、繊維産業が消えたようなことが現実に起きてきます。「強いものが勝つのではない、進化できないものが消える時代が目の前に来ています」、進化は変化の積み重ねによって起きるのです。変わる癖を身につけた集団になっていきたいものです。

社長 松原 史尚

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