「受注の落ち込みと新規受注拡大に向けて」

「受注の落ち込みと新規受注拡大に向けて」

3月10日(金)

 さて、昨日のメールの続きです。この2月予想していた受注が10%レベルで落ち込みました。しかも後半に来てのキャンセル(3月繰り越し)が多発してきました。ここでもっと早く気が付くべきでしたが、受注調整の動きは加速し、3月には20%レベルのキャンセルになっています。メディアなどでは半導体不足という表現がされています。もちろんそれも一つの要因ではありますが、今回はそれだけではありません。マツバラは新車と同様にリペアパーツにも注力しており、その比率は35%レベルになります。通常。新車が売れなければ、中古車が伸び、特にリペアパーツ一層必要になります。リペアパーツは重量比では35%ですが小ロットであることから価格も高く、これまでの自動車の半導体不足の調整時はこうしたリペアパーツが伸びることで受注の大きなダウンと収益性の低下を避けることが出来てきました。しかし、今回はこのリペアパーツまでが落ち込んでいます。この変化は大きな変化です。何かが起きています。

 私はその原因はアメリカ経済の失速にあると思います。そして、その根源はロシアとウクライナの戦争だと思います。今年、アメリカ、バイデン政権はこれまで続けてきたベネズエラへの制裁をほぼ全面で解除しています。アメリカが制裁を続ければ同盟国としてのEU等も同調をすることになります。ロシアからのエネルギー供給に問題が出ているEU諸国にも海を挟んで対岸にあるベネズエラからの石油が手に入ることは大きな改善にもなるでしょう。また、貧すれば窮するでベネズエラが中国やロシアにすり寄ることへの警戒感もあるのかもしれません。その結果、2021年まで原油を自給してきたアメリカがベネズエラからの石油の輸入を始めています。ベネズエラの石油は品質が悪く、精製にも非常に多くの時間、費用をかけ二酸化炭素も精製の段階から排出するのでアメリカ人には理解不能なことでしょうが、背景として戦争があるのでこの先も当面続くことになるでしょう。アメリカにおけるガソリンの価格は最安値のコストコの価格がほぼ日本に並び始めています(一時的には日本の価格を超えていた時期もあるそうです)、アメリカの友人からの情報では本日のコストコ価格が1リットル150円程度になっています。円安の影響もうけていますが、私がアメリカにいた頃の記憶はガソリン価格は日本の25%程度でした。ガソリン価格の上昇は全ての物価を変えていきます。人は動かなくなる、物が動かなくなる、急激なインフレと共に異常な物流コストの増額が重なり、アメリカ経済に急激なブレーキがかかろうとしています。世界一の経済大国がこの事態です、新車も売れなければ、中古車も売れません。しかも、その影響は全業種に及んできます。

 アメリカ風邪ですからEUにも感染します。そうすると日本は肺炎になる。まだ風邪の引き初めに思えますが、その流れが起きていることを理解しなければなりません。恐らく、この先も日本経済、特に製造業は更に深刻な状況が続くと思った方が良いと考えます。その中で、日本経済は更なる課題を抱えています。先ずは人手不足です、鋳造業は特に深刻です。鋳物つくりがよくラクビーや野球に例えられることが多いのは、溶解、注湯、砂処理、造型、後処理、検査、出荷といった業務が必ず必要となるからです。つまり仕事が減れば人数が削減できるといったものではありません。投手、捕手、内野手、外野手、そして昨今の働き方改革ではサブメンバーも必ず必要になります。一方で受注がなければ十分な収益も確保できません。収益が出なければ賃金は上げられず、賞与も出せず、人は去っていきます。そこに来ての材料と電気代などの大幅値上げもあります。収益が上げられなければ、設備投資も出来ません。設備の老朽化による不具合による生産性の低下も出てきます。つまり受注不足、原価高騰、設備老朽化、人手不足、この4重苦が重なっているのです。

 先ずは、こうした事態になっていることを全社員が認識することです。令和5年度日本経済はさらに悪くなる。この時期に気が付けていて本当に良かったと思います。幸いに、当社はこれまでの打つ手が早かったことで、4重苦を今のところ感じていません。故に、先ずは社員さんの安心のためにしっかりとした賃上げも決めています。しかし、2月の実績は少しの油断が大きなピンチに陥ることを示したもので、打つ手を間違えれば大変なことになります。その落とし穴が昨日示した3つのポイントであり、今日は「受注の落ち込みと新規受注拡大」としてブログに示しているのです。

 既に、このブログの前に営業、設計、品質保証の担当者さんには具体的な注意点をお願いしていますが、細かい背景について今回はブログで示してみました。この現状をしっかり認識してもらえたらと思います。昨年から繰り返し話していますが、エコノミストたちの多くが今年の日本経済を良い方向にと話されていますが、私には理解不能です。現状の世界を見るに悪くなる要素はあっても良くなる要素は一つも見えてきません。

 しかし、こうした時だからこそ時代をしっかり見つめて確実な手を打つことで「ピンチはチャンス」に変わるのです。

  1. 人手不足です

幸いに人の確保は出来ていますし、夏に向けて実習生も多く入社してきます

  1. 補助金を得て12億の設備投資をし設備は最新鋭です
  2. 材料、エネルギーはお客様のご理解でほぼ価格転嫁が出来ています

 一方こうした背景の中で、悲しい話ですが同業者様の廃業、人手不足が招く生産能力不足、設備老朽化による品質不具合といったことが散見されてきています。また昨今の円安の背景による輸入コストの増大と以前に起きたサプライチェーンの崩壊等、お客様の調達に対する不安も高まっているのです。先ずはそのお客様の不安解消の受け皿にしっかりとなっていくことが重要です。そして、その姿勢としてお客様が何を困っておられるのかをしっかりと把握しその対応をしていくことが重要なのです。そして、即座にその対応をすることが大切なのです。こちらの要望をする前にお客様の要望にしっかりと応えようとする姿勢を先ずもつことから進めていきたいと思います。

 品質を造り上げる設備は全て最新鋭の物に変わっているのです。他社さんで出来ていた品物なら当社なら絶対に出来ます。「技術のマツバラ」、お客様に今一度ご認識していただける大きなチャンスが到来しているのです。受注の低減はこの先も続きます、「お客様の困った」に結果で応えることそこから先ずは始めていきましょう。

社長 松原 史尚

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