「本日は調整日 悠之抱幽玄」

「本日は調整日 悠之抱幽玄」

4月10日(月)

 本日は生産調整日でした。通常生産をしている時にはどうしても目の前の業務に追われてしまいます。また決められた手順に従って生産活動を進めます。したがって、なかなか今やっている作業が安全、品質、生産性、コストの面から見て正しい仕事の進め方なのだろうかと見直すことは出来ません。しかし、生産調整日にはこうして手を止めてゆっくり仕事の進め方を振り返ることが出来ます。

 先日、各務原市内のある公民館にお邪魔する機会があり、そこで各務原市長を務めた祖父が書いた掛け軸を見つけました。そこには「悠之抱幽石」という文字が書いてありました。「抱幽石」とは仏教用語の白雲抱幽石を引用したもので、祖父が父によく話していたことでした。白雲抱幽石とは白雲が立ちこめ、石を包み込んでいる状態のことを言い、時には、世俗を離れて本当の自分と向き合う時間も大切だということです。祖父は父に「忠康、延びっぱなしの芋虫を見たことがあるか。芋虫は縮むから前に進めるのだ。」と。悠とは辞書には「精神的にゆったりしている様子」と書いてありました。幽石とはどっしりと構えるほどの大きな石、それを俗世(四苦八苦の世界=思い通りにならない世界)と表し、悠(精神的にゆったりとした心)が思い通りにならないこと=課題を解決していくのだということを言っています。また、悠は物理的には遠い時間・空間を表すとも辞書には書かれていました。白雲は瞬時に現れて瞬時に消えていきますが「悠」を使用することで、心の余裕を永遠に持ち続ける大切さを示していると思われ、「白雲抱幽石を抱く」を更に超えていく領域なのかと思います。社是を「精研」と決めた祖父の心が感じ取れます。精研とは、精錬と研磨とを重ね合わせた造語です。精錬とは、世界の部品素材を支えることができる企業として「鍛え抜かれている」という創業者の願いであり、研磨とは、世界の部品素材を支える企業としての技術、知識を日々高度なものにするために努力、磨き上げていくという姿勢です。

 私には祖父のように経営にこれほどの感覚を持つことは出来ていませんが、こうして生産調整日を月に一度は必ず設けることで、様々な課題に皆が向き合い改善する機会を創っています。本日は、役員会・経営会議も朝一番から行われました。役員会ではコンプライアンスの遵守、特に同一労働・同一賃金に関する内容を就業規定を社労士さんの助言を受けて改善したものを承認しました。この中には定年延長・育児休業に関することも含まれています。経営会議では、品質・生産性・収益性の改善案が出され、その新たな施策を活かして受注活動を進める上での方針を決めていきました。午後からは、この施策を具体的に職場で確実に進めるための行動計画が決められていました。

 「悠之抱幽玄」こうした姿勢で、しっかりと進めてくれてら良いと思います。スポーツでもそうです、力を出すには力を抜くことです。さあ、今週も頑張っていきましょう。今日決めたことをしっかり実現し、PDCAを廻して、また次の調整日にしっかりその内容を検証していきましょう。

社長 松原 史尚

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