「GIFA 2日目」

「GIFA 2日目」

6月16日(金)

 今日も足が棒になるほど歩くことが出来ました。やはり、2日間歩きますと初日とは異なった景色が見えてきます。

 これまでのGIFAでは見なかった景色、それは「カーボンニュートラル」への対応というものです。どの設備に関しても、高効率を謳わないものはありませんでしたが、中でも特徴的な2つのブースを紹介したいと思います。昨日も綴りましたが、ブースの大きさはその企業の勢いであることは間違いないと思います。出展料は、大変に高いと聞きます。また、展示期間の人員の手配、ブースでの接遇なども大変な費用がかかります。その中で、こうした宣伝広告費がしっかり使える企業=収益性の高い企業ということになのですから。

 先ずは、環境経営に向けての総合商社のブースです。こうしたブースは記憶にある中では、過去にはなかったブースです。この商社の仕事の進め方が紹介されていました。

「Discover sustainable metals production 」

 持続可能な金属製品を見出していくというのが経営方針でしょうか、ブースのいたるところに掲示されていました。カタログを見てみますと仕事の進め方として

1.現状の最適化

企業の二酸化炭素の現状の排出量を算定した上で、既存で効果が期待できる解決策の提案を実施する

2.移行期間

完全なGreen Steal 製造に向けた移行期間

(既存設備の高効率化 生産性の向上等への提案)

3.Green Steal の完成

生産システムの新たなスタンダードを構築していく。

 完璧な未来へは、風力発電、太陽光発電といった再生可能エネルギーの活用、また水素の活用等の可能性がカタログ上は紹介されています。

 2つ目の会社は水素による溶解を進める企業です。日本でも新日鉄さん等が進めておられます。この会社、近未来日本も代理店を構え、本格的な水素溶解のスタンダード化を目指していくと話されていました。既存の導入事例などについてもインタビューさせていただきましたが、現状は水素の量が全く足りていないが、水素の供給量は年々増加しており、時代と共に水素溶解が進んでいくことは間違いないと話されていました。

 恐らく、2社ともにまだ収益ベースではこれほどの大きなブースが構えられる程、大きなビジネス展開が出来ているように感じませんでした。1社目は、コンサル事業がメインであり、現状の主力事業は既存設備の高効率化のようです。2社目のカタログで紹介されるレベルの企業でも「近未来100%の水素溶解を目指す」といった表現でした。これほどの大きなブースが構えられるのは、投資マネーの存在ではないかと感じました。進むべき未来のスタンダード、大きな意思を感じる出展でした。

 次に、今回のブースの中で圧倒的な出展企業数(分野)といえたのは、仕上げ関連の事業でした。人手不足、特に重筋作業者の減少は世界的な課題であることは疑う余地もありません。ロボット、重機、大小さまざまな部品、あらゆる金属の分野、全ての産業の中での仕上げ工程の軽作業化への取り組みが紹介されていました。

 表現が適切でないかもしれませんが、ブースとしての衰退を感じられるのは3D分野ではないかと感じました。樹脂、紙積層、砂の硬化と12年前のGIFAでは所せましと出展企業が目についた記憶がありますが、今回は非常に少ない出店数であったような気がします。また、ブースに立ち寄る人の数も、以前との比較では減少しているように感じました。あるブース、商品説明をしている方の話に耳を傾けていました。このレベルの機械は、以前は約2億円していましたが、ほぼ完全な形でのコピー商品が中国で、約1億5千万で売り出された。また、小ロット、多品種、速度といった対応が迫られている中では、精密性の追求よりも、コスト追及である程度の精度が出せれば良い、こうしたものが7千万レベルで提供できるといった発想が、こちらの製品です。といった感じの紹介がされていました。3Dについては、特許の期限切れ等も重なっていること、技術面での確立(開発費をかけてもその回収が困難)がほぼ終わっているも影響している気がしました。一方で、安価で良質な3D製品を購入することが出来る時代が到来しています。中小企業にとっては、試作対応、小ロット・多品種等、高付加価値分野へのシフトも可能なのではとも感じました。

 最後に、中子に関連商品についてです。この分野では硬化速度、樹脂の使用量削減といった生産性と経済性、またガスの発生量から来る品質面の向上も謳われていますが、ホルムアルデヒド等有害物質の発生に配慮した新技術(商品)の紹介が主流となってきていました。あるブースでの説明を聞きましたが、生産性、品質、安全性、全てに優れている塗型(コーティング)が開発できたということで、大きな興味を持ちましたが「コールドボックスに対するもので、シェルには現状では対応できていない、ただ、シェル中子にも対応できるような開発を進めている」とのことで、現状での当社への導入は難しいようです。ただ、樹脂、塗型といったこの分野圧倒的に無機化学分野でシェル会社さんに依存する日本鋳造会には少し遠い技術のようにも感じました。

 以上、2日間の見学でしたが、今回は本当に多くの学びがありました。明日以降、他の参加者さんとも意見交換をさせていただきながら、私が感じ取ることが出来なかった分野の学びも加えて行けたらと思っています。

社長 松原 史尚

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