「ドイツ工場見学 2日目」

「ドイツ工場見学 2日目」

6月21日(水)

 初日の工場見学、1件目の社名も入れていませんでした。Olseberg社という会社でした。自社商品として、ドイツでは一般的な暖炉やストーブも造られていますが、鋳造工場としてモーターケースなどの産業機械の部品を造られていました。

 さて、2日目です。

 Heinrich Wagner Sinto さんに訪問させていただきました。

 ご案内はアンドレアス社長様にいただきました。現地の鋳造機器メーカーであったものを新東さんと技術提携、資本提携を重ね、現在では新東さんの100%出資会社、ヨーロッパの拠点となっておられます。

 造型機、集塵機、注湯機、定番商品に加えてお客様の課題を解決する様々な商品を提供されており、年間33000アイテムを出荷されるとのことでした。また、最新のサービスとして、製造元に拘らず、機械(システム)の最新鋭化(開発・改善)にも取り組まれており、現在では年間220件を超える、設備リノベーションに取り組まれているそうです。

 現在造型機の製造入荷までにかかる時間は18か月だそうです。特にトルコからの受注が旺盛なのだそうです。コロナ禍に鋳物部品が中国から入らなかったこと、またロシアからの輸入も国の方針で停止したために、新たな鉄鋼・鋳造産業の中心としてEU市場でトルコが選択され急成長しているのだそうです。明日はいよいよ日本に向けて出発しますので、明日は移動だけになってしまいます。こうした世界の動きに対し、今回多くの気づきや、何故に欧米経済が落ち込んでいるのかの真因も見えた気がするので、その辺りについても綴ってみたいと思います。

 さて、2件目はWESO社に訪問させていただきました。この企業は1569年創業、大変に歴史の古い会社です。工場管理、省エネルギー担当のベルタ―ホッパーさんに説明案内を頂戴しました。この会社操業はニッケルの採掘からスタートし、その後ニッケルの鋳造、1880年より鉄の鋳造をスタート。1887年、ニッケルの生産を停止、現在では鋳鉄専門で、FC、ダクタイル鋳鉄、縦型(DISA)横型(新東)さんの造型機を使用して自動車部品、産業機械部品を460名の社員さんで年間3万トン生産されておられるとのことでした。この会社では、鋳造システムそのものではなく、砂の再生装置に絞った見学をさせていただきました。流石に450年以上も続く会社です。砂の再生を工程内で行うという発想は非常に新しいと感じました。多くの工場を見学しましたが、こうした仕組みを取り入れられている会社を初めてみました。生産プロセスの中で、どうしても砂の劣化は進み、破砕した砂により微粉量が増えることで混錬砂が高水分化し、鋳物の品質を悪化させます。そのため、集塵機でこうした微粉を吸い上げるのですがどうしても過剰に砂(まだ使用可能な砂)を吸い込んでしまいます。そのため新たな砂を投入することとなり、砂の使用量が増えたり、場合によっては大量の砂を破棄することになったりするためにコスト的にも(最近は特に新砂の価格がインフレで大きく上昇している、また産廃の処分費用も急騰しているため)、同時に環境面でも課題が大きいのですが、工程内で再生することで不要なものだけを捨てることができ砂の品質は格段に向上し、同時に砂の購入費用、砂(産業廃棄物)の処分費用等も抑制でき、環境面での貢献度も高いと思われます。こうした発想が生まれる背景には、ここから生まれる効果(CO2排出量)を重要視する風土がヨーロッパにはあるのではと感じました。スウェーデンで始まったとされるEUの環境に対する懸念事項に、有益な土地を塞ぐ(アスファルトや産業廃棄物)ことで、自然の循環を止めるというものがあります。今回の設備はこうした面も考慮しているのだと感じます。今回の訪問でも1件目はスムーズに到着できたのですが、2件目は通行止めが何度もあり、しかも目的地に向かって左折するはずの場所で、その地名に×印(通行止めサイン)がつけられているという突然の通行止めが、3度も重なり。本来1時間で行ける場所に2時間かかってしまったことで、十分に工場見学を取ることが出来ず、その仕組みを十分に理解することは出来ませんでした。しかし、工程内での砂の再生という仕組みは非常に新しく日本でも活かせる仕組みだと思いました。EU新東さんの製品なので詳細を後日参加したメンバーに教えていただけることをお願いしました。

 本当にあっという間の8日間でした。そして、大変な学びの多いEU視察となりました。途中、会長が他界するという事態となりましたが、今回の多くの学びを活かし、会長に褒められるような会社に社員さんと力を合わせてしていきたいと思います。

 明日は日本に向けて帰国の途に着きます。ブログでは、今回のヨーロッパでの学びの総括としたいと考えています。

社長 松原 史尚

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