「調和」

「調和」

7月18日(火)

 本日は有楽製菓(株)ブラックサンダーチョコレートで有名な会社の会長様に来ていただき仲間の経営者たちのために講演を頂戴することが出来ました。

 今回のテーマは「調和」でした。会長は東京で育ちました。入社後は営業畑でお客様とのネットワーク作り、その後経営を見る立場になり、企業発祥の地である東京工場はそれなりの実績があるものの、豊橋の工場は業績が非常に悪かったことから、単身豊橋に乗り込まれることを決意されます。しかし、実際は経営の面で常にぶつかり合うお父様との距離を取りたかったというのが本音だったそうです。

 経営の状態が良くないには必ず良くない原因がある。豊橋に赴任してみると、そこは大変な事態であったそうです。不良品や返品の山、整理整頓は全く出来ていなかったこと、社員さんたちからは全く働く気概も感じなかったそうです。そのため、製造ラインの多くが停止したままであったそうです。こうした事態を打開するために、先ずは営業活動に注力、本社時代に培ったネットワークで受注の確保にまい進されました。ある程度の受注が確保でき、製造機械もある程度動き始めたころ、社員教育に注力を始められたそうです。実際教育をしてみると、全く聞く態度も出来てなかったそうです。しかし、ある時気づかれます。聞く態度よりも話す態度に課題があったことを。つまり「調和」が全く取れていなかったということを。先ずは、話すことより聴くことだと。相手を理解することから始め、一人ひとりの話を聴いていくと、こうした課題多き社員さんたちは仕事以外のことに課題が多く、大変な環境の中で育ったり、生活をしていたりという人が多かったということに気づかれます。会長の最初の心の変化は「この人(社員さん)たちを、本当に幸せにしてあげたい。」と思ったことだそうです。自身が変われば相手が変わる、徐々に調和がとれるようになり、品質、生産性、全てが良い方向に向かわれたそうです。こうした言葉悪く言うと少しやんちゃな社員さんたちは、心が調和すると逆に本当に頼りになる存在になるという話でした。そのやんちゃ軍団の棟梁的な方が、今尚企業の中核(役員)として製造現場を取り仕切られ、現在では部下たちを率いて海外工場へも技術指導に行かれておられるそうで、この方のお話をされる会長のお顔は満面の笑みで、今尚心の調和が最高に保たれているのだということを実感しました。

 こうして企業は軌道に乗っていきますが、ある夏のこともう一つの大切な調和に気づかれます。ある夏、会社の会議質の窓を開けてミーティングをしておられた折に、地元の小学生たちの集団登校の中で「この会社お菓子を作っている会社らしいけど、どんなお菓子を作っているのだろう。」という声が飛び込んできたのだそうです。この小学生たちの言葉が大きな気づきとなったそうです。会長は、その頃、豊橋が大嫌いであったと話されます。しかし、既に社員さんとの間での「調和」という手法を身につけられていた会長は「豊橋との調和」という手段に打って出られます。花火大会などへの協賛、スポーツ大会などへの協賛、地域から依頼されることはどんどん受けていかれました。その折、低迷する市電の経営支援のために電車のラッピングの依頼を受けます。もちろん受けられるのですが、そのラッピングに「豊橋銘菓 ブラックサンダー」と記されたそうです。今では、豊橋の市電のタッピングは順番待ちなほど、人気があるそうです。このように、地域との調和をどんどん進めていくと、地元に愛される企業、そして商品になっていきます。市民の皆さんが、地元のお菓子(お土産)として、日本中にPRを始めていただけるようになったそうです。今では、心からの感謝の念と愛を豊橋にもたれるようになったそうです。いつかのテレビで「ブラックサンダー大あん巻き」という商品を見たことがあり、てっきり有楽製菓さんが作られているのかと思いきや、こうしたネーミングライツも無料で提供され、豊橋の皆さん使用していただいたそうです。こうした全ての「調和」がブラックサンダーと日本中と「調和」していくことになります。

 「調和」本当に素敵な言葉だと思いました。今回の学び、この先の人生の宝としていきたいと思います。会長、本当に有難うございました。

社長 松原 史尚

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