「悠之抱幽石」

「悠之抱幽石」

 10月10日(火)

 各務原市内にある公民館で、以前祖父の書を見つけたというお話をさせていただきました。その掛け軸は「悠之抱幽石」というもの。今一度振り返りますと、「抱幽石」とは仏教用語の白雲抱幽石を引用したもので、祖父が父によく話していたことでした。白雲抱幽石とは白雲が立ちこめ、石を包み込んでいる状態のことを言い、時には、世俗を離れて本当の自分と向き合う時間も大切だということです。祖父は父に「忠康、延びっぱなしの芋虫を見たことがあるか。芋虫は縮むから前に進めるのだ。」と。悠とは辞書には「精神的にゆったりしている様子」と書いてありました。幽石とはどっしりと構えるほどの大きな石、それを俗世(四苦八苦の世界=思い通りにならない世界)と表し、悠(精神的にゆったりとした心)が思い通りにならないこと=課題を解決していくのだということを言っています。また、悠は物理的には遠い時間・空間を表すとも辞書には書かれていました。白雲は瞬時に現れて瞬時に消えていきますが「悠」を使用することで、心の余裕を永遠に持ち続ける大切さを示していると思われ、「白雲抱幽石を抱く」を更に超えていく領域なのかと思います。社是を「精研」と決めた祖父の心が感じ取れます。精研とは、精錬と研磨とを重ね合わせた造語です。精錬とは、世界の部品素材を支えることができる企業として「鍛え抜かれている」という創業者の願いであり、研磨とは、世界の部品素材を支える企業としての技術、知識を日々高度なものにするために努力、磨き上げていくという姿勢です。

 この書がどうしても欲しくて、公民館のある地元の自治会長さん、長老さんにお願いをしてみました。その願いが叶い、最近この書を頂戴することが出来ました。本来買い取らせていただきたいと思いますが、売買になると様々な難しい問題もあるようなので、頂戴して何かの形でお礼が出来ればと存じます。

 頂戴するにあたり、地元の自治会の長老様からは「啓吉市長の立派な揮毫を苅谷さんの表装師としての凄い技術によって日の目を見たことは、また祖父の埋もれていた素晴らしい遺産を発掘した孫の松原さん、三者を結びつけた中田さん、いずれも最高でした。贈呈式に参加できず本当に残念お許し下さい。やっぱり東島町は輝いている。うれしいですね。」との言葉を頂戴し、表層をしていただきました方には『松原様の書気持ちをこめて表装させていただきました。 また今日 書の意味を聞いて、まだまだ頑張ろうとも思いました。 ありがとうございました。』との言葉を頂戴しました。

 本当に多くの皆様のご理解とご支援で掛け軸を頂戴することが出来ました。加えて、関わっていただけた皆さんのお心にも触れることが出来ました。本当に有難うございました。この先永遠の自身への応援詩として大切にしていきたいと思います。ということで、早速社長室の中に飾らせていただきました。志が変わると人生が変わると言われます。どうやら、既に何か大きなものが動き始めている、そんな気がします。運命の年である、本年、今一度気合が入る瞬間です。

社長 松原 史尚

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